(1) はじめに






この「ハウツー・セックス」「HOW TO SEX」は特別高度なセックス・テクニックを皆様に伝授しようなどという、大それたものではありません。日本中の多くの老若男女が日夜実行している、当たり前の性生活・セックスライフの記録です。情報としては、実際の数組のペアーの初体験から成熟した性体験者になるまでの記録をベースに、各項目ごとに最大公約なセックスライフ情報に仕立て上げていくつもりです。科学的検証など、本来情報の裏付けを全て掲載すべきなのですが、出来るだけ楽しく気楽に情報を伝えるためには、科学的裏付けなどの難しい説明情報の詳細は省略することがあります。
セックスの実践者である多くの人々がセックスの最中に、その行為の科学的根拠などを頭に描くことはないだろうし、描くことでセックスとは異なった欲求を求められ、セックスに没頭できないリスクを回避すべきだろうと考えました。
男女のセックスは出来る限り、無心で行われるのがベストだと考えています。何らかのセックス秘術やセックス・マニュアルに煩わされるべきものではないのです。それならこの「HOW TO SEX」も書くこと自体、無意味ではないのかという疑問も湧いてきます。この理想が現実であれば、本当に不必要な情報です。しかし、理想は何故か理想のままなのが現実なのです。
難しいことを考えずに、惹かれあい求め合う男女が互いに衣服を脱ぎ捨て、ただ抱き合うことから性交という行為になだれ込むのが、最も自然なセックスだと云えます。妊娠するもよし、性病に感染するのも時の運ということです。皮肉を言っているわけではありません。このような無鉄砲で無我の境地でのセックスには、前戯もテクニックも必要ないのです。
女性は激しいキスの交換で、ほぼオーガズム状態に達しています、立っていることが困難な状況になるくらいです。このように激しく愛しあうペアーにとっては、キスも乳房、クリトリス、陰唇への愛撫も、全て同様の効果しか現しません。テクニックなどというものは、無用の長物と化するのです。後、男性がすることといえば、勃起したペニスの挿入とピストン運動と射精だけです。このようなペアーにとっては、無神経で無知で野蛮な男性側の行為も、逆に好まれるということになります。
本来、男女のセックスがこのような状況下で行われる限り、男女の性的不満など存在するはずがないのです。会って、手をつなぎ、キスをすることで、もう既に二人のセックスは一部完結(男女のコミニケーション)しているわけで、乳房やクリトリスへの愛撫もペニスの挿入も、追加のコミニケーションになっているわけです。
身体的快感の立場から考えると、それら追加の行為が二人の一層のオーガズムに寄与することは確かです。このように激しく求め合い、惹かれあうペアーこそが、理想の男女の性的関係だと云うことができます。つまり、傍目から見ると、恥ずかしくなる程に愛し合っている「あばたも笑窪」状態の男女にとって、HOWTOSEXもオーガズム論、セックス・テクニックなど等、すべて不要ということです。
しかし、男女の燃えるような愛や情熱は一定ではありません。双方のバランスが常に一定でもありません。
適切な表現かどうか分かりませんが、「情熱⇒愛⇒愛情⇒家族」というようなパターンで成熟して行くものかも知れません。時には情熱の時点で別れる男女もいます、愛情あたりで別れる男女もいるわけです。男女の燃えるような情熱時代は、その男女にとっては一時的なものであることが問題なのです。仮に2、30年も続けて燃えるような情熱で愛しあう男女がいるとして、どちらか一方が早死にすること間違いなしでしょう。
結局、知識や経験、パートナーへの気配りなしに性欲のおもむくままに、不満のないセックスが実行できるのは、ほんの一時に過ぎないということです。情熱の時代を、何度もパートナーをチェンジすることは可能です。しかし、それが出来る人々は例外的人々です。精々出来ても、一生に数回程度のものです。
この「HOW TO SEX」は決してセックス・マニュアルではありません。多くの男女の性的関係の単なる参考資料です。取材の努力は惜しみませんが、最終的には筆者の知る限りにおける情報です。
編集の基本は恋人から夫婦へ、そして子育て、中年、老年の性を想定しています。しかし、連続性はありませんから、興味のある項目をピックアップすることは可能です。不倫の関係であっても、参考になるように編集していくつもりです。あえて不倫を推薦応援はしませんが・・・
文中で駆使する「ハイパーリンク」は、その部分の詳細な情報が欲しい読者のための、参考情報です。経過と伴にリンク切れなども出てくるでしょうが、その節はご容赦です。
普通の男女が織りなす、普通のセックス。ドラマチックな出来事も特になく、ただ坦々と歩む人生の中で、セックスというものはどのように関わっているのか、あるいは二人の関係にどんな影響を与えていくのか、執筆を通じて筆者も考える一人になろうとしています
2003.12.20 by 饗庭龍彦


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