(20) 生理中のセックス











 生理(月経)中のセックスを考える時、幾つか考えなければならない問題がある。
まず考える事は、膣から月経血が出ている状態で挿入を伴う性行為はしても良いだろうかという疑問が浮かぶ。そしてその行為の性感はどのようなものかという事である。
次に生理中の性行為・セックスが医学的に問題があるのかないのかということになる。妊娠の確率とか性感染症も気になるところだろう。
早速前者について考えてみよう。性に対する考え方は個人差があるし時代的背景もあるが、生理中は通常はセックスを避けるというのが一般的である。だからある程度の年齢に達している女性であれば、彼とのデートに際し、生理の周期を把握していて性的シーンが起きない状況を考える。しかし、女性の知識が不足だったり、突然生理ということも大いに起きるわけで、その時はどうするかという問題だ。。特に間もなく生理という時期になると、挿入による刺激が加わる事で数日早く生理が始まることは意外に多い。
社会通念の一つとして「生理中はセックスはしない」という観念は今でも有効だろう。女性の立場からすると、出血している体を見られることへの抵抗感があるし、生理用品を使用している状況を見られたいとも思わない。生理中は肉体的に精神的に性欲が活発になるという状態でもない。勿論、私は生理になると燃えるのという女性の存在も否定しないが、少数派だといえる。
男性の方も、女性が生理中だと判った時点で性的欲望を仕舞いこむ事が多い。現実には相当な覚悟が必要である。また世間一般の通念に逆らって、生理中の女性の体を求める態度はリスキーだと思う部分もあるだろうし、自然に性欲が萎えていく事が多い。勿論、例外はある(笑)
それでは生理中にセックスをするのはタブーなのかというと、そこまで厳しいものでもない。物理的に可能なことであり、双方が望むなら止めるものではない。特に女性が生理中のセックスを望むのであれば、むしろ前向きに対応するべきだといえる。なぜなら、生理中の女性を忌み嫌っていると勘違いされることの方が問題になるからである。
では現実に生理中にセックスする場合の状況を考えてみよう。生理の始まりか終わりかで状況は変わる。ここでは経血が多い状況で考えてみる。一般的に生理二日目が経血量は一番多い。(例外はある)個人差で経血量が少ない女性も居るが、多くは相当の出血量である。まず双方の性器部分が血だらけになるのは当然だし、シーツが血でかなり汚れるのも覚悟すべきだ。
生理臭があるのが普通なので、通常とは違うニオイを嗅ぐことになる。膣内も愛液とはまったく異なるヌルヌル度の高い経血で満たされ膨満している事が多いので、男性側としては刺激が極端に少なくなると思った方がいい。
抜き差しの頻度を増やし、タオルか何かで経血を拭う必要があるだろう。ベッド又は布団で行う場合は、赤系のビニールシート、バスタオルを女性の下に敷き、手元のタオルも濃い色合いのものを使うのがベター。
明りは豆電気程度がベスト、多くを見たいという欲望は捨てたほうが賢明だ。色んな体位なども出来る限り試さないことである。正常位に徹することをお薦めする。
こういう手順が面倒な場合、バスルームを使うのが最もポピュラーだが、自宅の浴室の広さによっては不可能に近い場合もある。ラブホのベッドなら汚しても自由だという意見も多々あるが、筆者としてはそこがラブホだから汚すの自由という発想にはならない。まぁその辺は人格の問題である。
生理中の女性は性感が高いといえる。その為に或る一定レベルまでは早目に昇るが、オーガズムとなると難しい場合が多いので、双方ある程度で我慢する気持ちも必要だ。
生理中のセックスは緊急避難のセックスと割り切り、100%の満足を得ようとしない気持ちが大切だ。時には生理にも関わらず愛してくれたという情緒的感動が愛を深めることもある。ただし、男性側からの執拗なアプローチは体だけが目的?という疑惑を生むので気をつけてもらいたい。
さて次に生理中の妊娠避妊を考えてみよう。生理と排卵は起きる時期が違うので、通常は妊娠しない。ただし、ゼロ%かというと断言は出来ない。生理が28日周期で安定している女性の場合、妊娠の確率は非常に少ない。つまり、完璧ではないが避妊の心配が少なくて済むということが出来る。極端な例えだが、生理の終わり時期だとその時中だしした精子が生き残っていて妊娠というリスクもありうる。生理4,5日目という場合はセックスはあまり気を遣わずに行えるが中出しは多少危険である。
また生理中の膣内の壁は脆い状態にあり、免疫力も低下している。つまり雑菌の侵入に弱い状態なためカンジダ膣炎などになるリスクは高まるが極端に高まる程ではない。少し大袈裟だが、子宮けいかんの入口が開き気味などで、運が悪いと雑菌を子宮内に押し上げ、子宮内膜炎を引き起こすこともある。

つまり生理中のセックスは男性にとってそれ程良い環境とは言えず、刺激も少ない。女性も心理的に乗りが悪い場合が多い。妊娠の可能性は非常に低いがゼロではない。生理中は激しいセックスやバラエティに富んだセックスは無理で、膣が傷つきやすくもなる。以上のことを総合すると、どうしてもという必要性がない時は、我慢する方がベターである
饗庭龍彦


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