(21)妊娠中のセックス









 妊娠中のセックスを考える時、先ずはセックスすることが母体にどのような影響があるかが重要である。
結論からいえば、妊娠中のセックスが母体に悪影響を及ぼすことは原則ない。ただし、出血、切迫流産経験者や兆候のある、前置胎盤などがある場合には担当医と相談しながら妊娠中のセックスをどうすべきか判断すべきだろう。
当然の事だが、無理な体位や過激な性行為を避けるのは当たり前で人の親になる以上、その程度の常識は身につけて貰うしかない。
それでは現実、妊娠した夫婦はセックスをしているのかどうかだが、夫々の夫婦が工夫をしながらセックスを実行しているというのが現実であり、正しい方法だといえるだろう。
多くの場合、妊娠初期の2ヶ月くらいは乳房の痛みとかつわりも酷かったり、女性の性的関心も低くなるので、ペニスを挿入しないスキンシップを選択、最後はマスターベーションで処理するのがベターだろう。仮に女性の性欲が増進してしまった場合、それでも絶対に駄目とは言わないが、激しいセックスを控えることに注意すべきである。
激しいセックスが稽留流産の原因かもしれないという解説もあるが、医学的根拠は乏しい。それよりも、そういう行為をしたために流産したのではないかという後悔が残るような行為は避けておいた方が良いということだ。
妊娠中期になると妊娠も安定
期に入り女性の性欲も戻る事が多いので、大いに楽しむことをお薦めする。ただし、妊娠中の原則激しいセックスは避ける方がベターだし、精子が早産を誘発するという説もあるので、コンドームを利用するか膣外に射精する事は守るべきだ。例外を除いて、妊娠中に妊娠することはないので、膣外射精も許されるだろう。
妊娠後期も妊婦の体調を考えた上で、腹部への圧迫を避ける体位を選択、セックスを充分に楽しんで貰いたい。ただし、この時期になるとお腹のふくらみも目立ち女性の性欲が減退することも多いので、妊婦の性欲を中心に考えるべきである。
セックスレスになっていく経緯のなかで、妊娠中のセックス回避が引き金になっている夫婦も多いので、妊娠中といえども適度なセックスが必要な事は言うまでもない。勿論、常識の範囲であり、奥さんの乳房の変化や体型の変化に性欲を盛り上げて、妊娠前以上に励むなどはもっての外である。
多少大袈裟だが以下に医学上の妊娠中のセックスで考えられる事を列挙しておく。
*出血、切迫流産経験者や兆候のある、前置胎盤などがある場合には避けるのが無難。
*ペニス挿入中のピストン運動は膣及び子宮に刺激を与える。この刺激はオキシトシンの分泌を促すので子宮が収縮する。ある意味で陣痛を促す行為といえる。
*異常に大きく色の濃くなった乳輪乳房乳首が男の性欲を刺激するが、乳首への過度な刺激もオキシトシンの分泌を促すので注意。
*意外だが妊娠中に初めてオーガズムを知る女性も多いのだが、それで喜んで調子に乗ると、同じくオキシトシンの分泌を促すので、残念だが夫婦でオーガズムに夢中になるのは、出産後に残しておこう。
*セックスの体位は女性のお腹に男の重みがかからない、圧迫しない体位と女性がお腹を曲げない体位に努力すべき。女性上位の騎乗位、後側位、正常位の女性が伸展している体位など。
*妊娠中の膣、子宮は血管が拡張しているので傷つきやすいので激しい行為をしない。道具を入れるなどはもっての外。
*精液には早産、破水を促す物質があるし、雑菌も含まれるのでゴムの装着を。
*妊婦がお腹の張りを感じたら、理屈抜きに中止すること。

饗庭龍彦


Page Top 1         10 11 12 13 14 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28