X(2005.08〜12)

性科学・生殖・セックス・性犯罪ニューストピックス







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*韓国の「ヒトクローン胚・ES細胞」すべてがでっち上げか? 12.26

韓国の聯合ニュースは26日、黄禹錫(ファン・ウソク)・ソウル大教授チームによる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究疑惑を調べている同大調査委員会が、黄教授が5月に発表した論文にはヒトクローン胚から作ったES細胞のデータが一つも存在していなかったとの結論に達した、と報じた。11株のヒトクローン胚型ES細胞の作製に成功したとする論文について調査委は23日、うち9株が他の2株のES細胞のデータを基に捏造(ねつぞう)されていたとする中間結果を発表。調査委はその後、データの基になった2株に対する詳細なDNA検査を実施したが、2株ともヒトクローン胚からのES細胞ではなく、受精卵から作ったES細胞との結果が出たという。調査委は近く最終結果を発表する。ただ、黄教授は研究室のヒトクローン胚型ES細胞が何者かにすり替えられたとして検察に捜査要請を出している(朝日新聞)

*植物の受精に不可欠遺伝子「ユイノウ」発見

植物の受精で、精細胞が卵細胞などと結びつくのに不可欠な遺伝子を、立教大などの研究チームが発見した。この働きを結婚の結納にたとえ、研究チームは「ユイノウ」遺伝子と名付けた。原始的な藻類から高等植物まで存在しており、植物の受精の仕組みを解明するカギになるとみられる。25日付の英科学誌ネイチャー・セルバイオロジー(電子版)に発表した。チームは立大生命理学科の森稔幸(としゆき)特別研究員や黒岩常祥(つねよし)教授ら。テッポウユリの花粉から、精細胞だけで働く遺伝子を発見。この遺伝子は、精細胞が卵細胞と融合するのに欠かせないたんぱく質を作っている。テッポウユリなどの被子植物が受粉すると、花粉から伸びた花粉管が、めしべ根元の胚嚢(はいのう)まで進む。そこで飛び出た2個の精細胞が、卵細胞と中央細胞にそれぞれ受精する。ユイノウ遺伝子はシロイヌナズナにもあり、この遺伝子が働かなくなったシロイヌナズナで調べると、受精までの流れは正常なのに、最後の細胞の融合だけが起きなかった。チームは、精細胞がユイノウ遺伝子のつくるたんぱく質を持っていなかったため、受け入れられなかったとみている。ユイノウ遺伝子は多くの植物のほか、マラリアなどの原生生物にもあった。受精の仕組みが解明されれば、マラリア原虫の駆除などへの応用も期待できる(朝日新聞)

*ついに来た!人口減少国家

明治以降、人口が増え続けてきた日本社会が、大きな転換点を迎えた。厚生労働省の推計で05年に生まれた子どもの数が死亡者数を1万人下回り、政府の推計より1年早く人口の自然減が始まった。子どもが生まれにくくなったのは、将来への不安や経済的な負担などが理由だ。だが、30年前から、日本がいずれ少子化によって人口維持ができなくなることは分かっていた。それなのになぜ効果的な対応が打ち出せなかったのだろう。川崎市の会社員、中野広行さん(41)と洋子さん(39)は、一人息子の広海ちゃん(2)を認可外の保育室に預けて働く。公立保育園には2年続けて入所希望を出したが、希望者が多くてかなわなかった。「子供1人だって安心して預けて働けない。2人目なんかとても考えられない」と嘆く。「仕事は続けたいし、子供も産みたい。妥協点が1人。少子化は問題だと思うけど、たくさん産める人が産んでね、という感じ」と都内の共働きの公務員の女性(33)は話す。合計特殊出生率は04年が1.29で過去最低を更新中。「晩婚・晩産化に加え、結婚したカップルが持つ子どもの数が減っている」と、国立社会保障・人口問題研究所の高橋重郷副所長は分析する。年金などの制度設計の基礎になる同研究所の人口推計(中位)が置いた前提は、85年生まれの女性の6人に1人は結婚せず、結婚しても産むのは1.72人。3割の女性は一生、子どもを持たない。これでも「甘い」と批判されがちだ。同研究所の02年調査では、50歳未満の妻にとって理想の子供数は2.56人だったが、結婚期間が15〜19年の妻が実際に産んだ子の平均は2.23人と格差があった。理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」「育児の心理的・肉体的負担に耐えられない」など。お金の問題は大きい。内閣府の試算では、大卒の女性が退職せずに60歳まで勤務した場合、出産によりいったん退職してパートで再就職した場合に比べ、生涯年収が2億円以上多くなる(国民生活白書)。
少子化を招く背景には、経済力の低いニートやフリーターの増加もある。UFJ総研の試算では、フリーターが正社員になれないことにより経済力が伴わず、婚姻数が最大で年間11.6万組減少する。この結果、13万〜26万人の子供が生まれなくなるという。少子高齢化が急速に進行すると、社会や経済に様々な影響を及ぼす。人口問題研究所の推計によると、2030年には、ほぼ3人に1人が65歳以上のお年寄りだ。高齢化で、社会保障の給付は増える。厚生労働省の試算では年金・福祉・医療の社会保障給付は04年度の86兆円から25年度は152兆円になる。支え手が減れば、1人あたりの負担はさらに重くなる。人口減でゆとりが生まれる部分もある。内閣府がまとめた「日本21世紀ビジョン」では、良質な中古住宅が市場に出回るようになれば、4人家族の借家1戸当たりの平均延べ面積(98年で59平方メートル)を、30年には100平方メートル以上にできるとしている。ゆったり通勤も夢ではない。東京大などの研究は、千代田区など都心の8区に通勤するサラリーマンは00年の310万人から、50年には247万人と2割減ると予測している(朝日新聞)

*日本と世界、性犯罪対策の違い

最近、世界各国で女性や少女を狙った悪質な強姦(ごうかん)や暴行、殺人事件が相次いでいる。こうした性犯罪は一般的に常習性が強いとされる。再犯をいかに防ぐかは日本だけでなく、各国の司法当局にとっても重要課題だ。欧米各国でも数々の事件を機に、行政や住民による取り組みが進んでいる。
◇事件のたびに厳罰化−−米国
米国では子供に対する性犯罪事件が起きるたび、法律の提案、改正が叫ばれ、性犯罪者の量刑は重く、行動規制は厳しくなっている。今年2月、フロリダ州で9歳の女児ジェシカちゃんが前歴のある性犯罪者に寝室から連れさられ、レイプされて殺害された。その直後、13歳の女児が殺害された。同州はこれらの事件を機に子供への性犯罪で有罪になった場合、最低でも25年の禁固刑を義務付け、出所した後もGPS(全地球測位システム)を装着させて生涯にわたって追跡するという厳しい州法を成立させた。同州の一部では、子供への性犯罪歴がある者は、ハリケーンの緊急避難所への出入りすら禁じられる。また、司法省は7月、名前を入力すれば他州で犯した犯歴も横断的に検索できる全国性犯罪者公開登録をインターネットで公開した。しかし、同月、ハンマーで3人を殺害し、2人の子供を拉致したジョセフ・ダンカン被告(42)がアイダホ州で逮捕された。逮捕時、9歳の男児は既に殺され、8歳の女児だけが保護された。同被告は17歳で「性的サイコパス(精神障害)」と判定され、矯正治療にも失敗した常習性犯罪者で、ミネソタ州で6歳の男児に性的行為を行って有罪になったが、保釈中に逃走して犯行に及んでいた。この事件を機にさらに厳しい法律が各地で成立するとみられる。USAトゥデーによれば、子供への性犯罪の総数(03年統計)は10年前と比べて39%も減少。それでも、毎年6万〜7万人が逮捕され、うち40〜50件は犠牲者が殺害されている。【ロサンゼルス國枝すみれ】
◇被害者家族が対策組織−−ベルギー
ベルギーでは96年、10代の少女6人が誘拐され、4人が暴行・殺害されたデュトロー終身刑囚による事件が発生。この際、警察が事前に犯人情報を把握しながら迅速に動かず、被害者の数が増えたことなどが判明、大問題になった。これを教訓に被害者の親などが98年、幼児誘拐などに対応する非政府組織「チャイルド・フォーカス」を発足させた。同組織は政府の資金援助も受け、24時間ホットラインを開設。行方不明の幼児などに関する相談を受けるほか、時には警察の捜査にも参加する。同組織によると04年だけで18万件の電話相談があり、心理学や犯罪学の専門家などが対応。場合によっては現場にも急行し、同年は37件の事件捜査に協力した。また行方不明の子供たちのポスターを作製・配布するなどの活動も行っている。これとは別に、同国警察は近年、子供たちが参加するインターネットのチャットサイトの危険性にも注目する。コンピューターでの子供同士の「会話」に、犯罪目的の大人が参加しないよう、身元確認と暗証番号の徹底も呼びかけている。【ブリュッセル福原直樹】
◇曲折の末、GPS導入−−フランス
フランスでは首相の諮問を受けた元弁護士のフェネック議員が昨年4月、「(性犯罪者を含む)懲役5年以上の判決を受けた受刑者が出所後最低2年間」は衛星で現在位置を把握できる腕輪式GPSを装着すべきだと提案した。しかし、弁護士会などが「出所後の義務」となる点と所在地把握はできるが再犯防止策ではない点から、それよりも「刑期中の再犯防止教育を重視すべきだ」として反対。提案は法案化され、昨年末下院を通過したが、上院が今年2月「時期尚早」と否決した。結局、今年11月「7年以上の判決を受けた重罪者が刑期満了前に釈放となった場合、満期までの期間(最大6年)に適用」との条件で導入が決まった。フェネック議員はGPS装置の維持費が1日当たり45ユーロ(6300円)であるのに対し、刑務所経費が65ユーロ(9100円)であるとして効率性も強調した。ただ、審議過程で医師の中には「通常犯罪者には所在地把握と同時に(犯行前に手首の脈拍が高まることで)腕輪が気になって心理的警告の役割も果たすが、性犯罪者にはこの効果はない」と指摘する声もあった。【パリ福井聡】
◇「薬物で抑制処置を」−−イタリア
イタリアでは性犯罪、特に未成年を標的とした再犯者に対して「薬物による性欲抑制処置を施すべきだ」という強硬意見も一部にある。しかし、国はそこまで極端な手段には乗り切れず、対策に手をこまぬいている。今年7月、中部ボローニャで15歳の少女が17歳のモロッコ系の男に乱暴された。この事件を受け、カルデロリ制度改革相は「性犯罪者に対しては、再犯を防ぐ観点から、薬物で性欲を抑える刑罰が含まれるべきだ」と提案。しかし、ピザヌ内相は「安直な試み」だとして却下し、「現行法令で十分厳格に処罰できる」との政府判断を示した。薬物処置は男性ホルモンの分泌を止める薬を使い、精神療法を併せて行う。しかし、薬をやめれば永続的な効果はなく、凶暴化する恐れも指摘される。その後、今月に入って18歳以下の少女計17人を強姦した罪で懲役15年の刑を言い渡された59歳の男が、自ら「薬物の処置」を当局に求めた。弁護士によると、男は出所後も再犯を重ねる不安に駆られているというが、今のところ、薬物使用は認められそうにない。画期的な対策は打ち出されていない状況だ。【ローマ海保真人】
◇テロ対策に追われ…−−英国
英国では97年、性犯罪で有罪が確定した人物の氏名などをリストアップする性犯罪者登録制度が始まった。指紋やDNAを採取された元犯罪者は地元警察に住所を告げ、毎年更新する。引っ越した場合は3日以内に転居先を連絡しないと5年以内の懲役刑となる。登録期間は通常は10年間、凶悪事案では終身だ。制度発足当初は1年ごとの更新は義務付けられておらず、登録期間も短かったが、犯罪件数の増加とともに強化された。登録情報は元犯罪者が住む地域の学校長、医師、青年団長、スポーツクラブの代表ら子供を守る立場にいる人だけが知ることができる。これまで2万9000人が登録された。うち626人が再犯の危険性の高い「要注意人物」、547人が暴力行為に走る人物とされ、当局が監視を続ける。今月6日、監視対象の元犯罪者100人の現状を調査した報告書が発表された。法の厳格化にもかかわらず「元犯罪人の居宅内を調査できない」など、警察官、保護観察所担当官の多数が法の不備を感じていた。一方で監視担当が長期間、元犯罪者と接触していないケースもあった。報告書は「テロ関連人物の監視に追われ、元犯罪者の監視がおろそかになっている」と指摘した。【ロンドン山科武司】
 ◇2分30秒ごとに被害−−昨年の米国
米司法省の調査によると、04年中のレイプなど性犯罪の被害者数は全米で20万9880人。被害者の6人に1人は12歳以下とみられ、加害者の約3分の2は被害者の顔見知りだったという。被害者支援の電話相談ホットラインを実施している米国の市民団体「RAINN」は、性犯罪の被害申告は実際の発生件数の半数以下にとどまっていると指摘しており、米国内では「2分30秒に1人」が被害に遭っていると分析している。国連集計によると、人口10万人当たりのレイプ事件の発生件数(02年)は日本1.85件に対し、▽イタリア4.41件▽ベルギー23.57件▽英国22.62件▽米国32.99件▽サウジアラビア0.27件−−など。ただ、国ごとに法制度が違うほか、宗教や犯罪を取り巻く社会環境によって被害の申告状況が大きく左右されることから、こうした集計値の比較だけで発生の実態を把握するのは難しい(毎日新聞)

*小学校の性教育 公立小中学校などで実施されている性教育について、2004年度に保護者らから学校へ寄せられた苦情や問い合わせは、延べ520件に上ったことが22日、文部科学省の調査で分かった。うち約70%が「何を教えているのか」「教材は何を使うのか」という問い合わせや意見だった。 調査は、国会審議で学校での性教育が「行き過ぎ」と指摘されたことをきっかけに初めて実施。全教育委員会と公立小中学校など約3万3000校を対象に実施した。問い合わせや意見のほかは「指導内容や教材が発達段階を踏まえていない」21%、「保護者に説明がない」5%、「学習指導要領にない内容だ」3%など。これに対する学校の対応では「保護者へ説明し理解を得た」62%、「説明したけど理解が得られなかった」など20%、「指導内容や教材を見直した」13%などだった。具体的には(1)「小4に精通を教える必要はない」という苦情に学校が学習指導要領に沿った内容であると説明し理解を得た(2)「中学の授業で性交を扱うのは行き過ぎ」という苦情を受け、教育委員会が学校を指導して扱わないようにした(3)小2に出産のビデオを見せるのはやめてほしいとの苦情で、ビデオの使用を止めた−などがあった(ZAKZAK)
*受精卵診断で規制緩和で公募に踏み出す

日本産科婦人科学会(日産婦)理事会は17日、習慣流産を回避する目的での受精卵診断を認めるとする倫理委員会作業部会の答申の報告を受けた。しかし、倫理委内部に異論が残り、理事会でも反対意見が出たため、国民や会員の意見を来年1月末まで公募し、改めて倫理委で議論することにした。2月の理事会で結論をまとめたいとしている。

 受精卵診断では、体外受精卵から一部の細胞を採り、遺伝子や染色体に異常が見つからなかった受精卵を子宮に戻す。倫理委作業部会の答申は、両親のいずれかで染色体の一部が別の場所に入れ替わるなどして異常が起きる「均衡型転座」による習慣流産について、個別審査し、遺伝カウンセリングや情報管理の態勢が十分な施設での診断を認めるとした。しかし、倫理委やこの日の理事会で「効果がはっきりしない」「生命の選別につながる」などの反対意見が出て、まとまらなかった。日産婦は現在、命にかかわる「重い遺伝病」に限って、個別審査の上での実施を認めている。習慣流産回避目的での診断を認めると、制限を大きく緩めることになるため、広く意見を聴いた上で決める必要があると判断した。ホームページに19日にも今回の経緯などを掲載し、意見を求める。FAX(03・5842・5470)や、手紙(〒113・0033 東京都文京区本郷2の3の9 ツインビューお茶の水ビル3階)も可(朝日新聞)

*何と!世界初の韓国ES細胞は存在せず 12.16

ヒトのクローン胚(はい)から世界で初めて胚性幹細胞(ES細胞)を作ることに成功したとの論文を発表していたソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)教授が、研究成果のES細胞は存在しないため、論文の撤回に同意したと韓国メディアが15日夜、一斉に報じた。韓国がバイオテクノロジー研究の象徴としてきたES細胞で、英雄扱いされてきた同教授の成果が虚偽だった可能性があり、韓国社会に衝撃が走っている。これまで黄教授の研究に関する疑惑を追及してきたMBCテレビの午後9時のニュース番組によると、米科学誌サイエンスに発表した論文の共同執筆者の盧聖一(ノ・ソンイル)ミズメディ病院理事長が入院中の黄教授を見舞った際、教授が自ら語ったという。盧理事長によると「黄教授は『ES細胞は今は一つもない』と話した」という。「論文を撤回した方がいいのでは」と尋ねたら、教授は「そのようにしよう」と答えたという。ES細胞をめぐる疑惑が表面化していたため、教授は疲労で入院中だった。盧理事長はKBSテレビには「黄教授が作ったと主張した11個のES細胞のうち、9個は確実に偽物。残り二つの真偽は現時点では確認されていない」と話した。MBCテレビでは、黄教授らが研究員にデータの操作を指示したことを研究員から確認した、と明らかにした。ソウル大医学部の研究副学部長は「ES細胞がないことを研究チームから確認した。今日は韓国科学界にとって『国辱の日』と宣言してもいい」と話した、と韓国の通信社の聯合ニュースは報じている。研究はいくつかの班に分かれて運営されたので、このような事態を招いたとの見方もある。黄教授は韓国で「国民的英雄」の扱いを受けてきた。研究成果が「でっちあげ」の可能性が出てきたことは、韓国政府による「バイオ立国」政策がつまずくことになりかねない。黄教授の論文をめぐっては、元共同研究者のジェラルド・シャッテン米ピッツバーグ大教授が「論文の正確性に疑義が生じた」として、共著の論文から名前を削除するよう申し入れていた(朝日新聞)

*「ジェンダー」言葉の一人歩きに猪口大臣

◇男女同室の着替え、男女混合の騎馬戦…その「ジェンダー」間違ってます
猪口邦子男女共同参画担当相は13日の記者会見で、今年度中に改定予定の男女共同参画基本計画で、「ジェンダー」(社会・文化的な性差)の定義を明確にする考えを明らかにした。教育現場で性差を否定する概念と受け止められるなど、誤解や混乱が生じているとの判断。「男女差別」との批判を恐れ、騎馬戦を男女混合にした過剰反応の学校もあるという。ジェンダーの概念は90年代半ばに男女共同参画政策の標語などで登場。生まれついての性別とは別に、「男らしさ、女らしさ」を押し付けない「ジェンダーフリー」という考え方が広まった。00年策定の現計画でも盛り込まれたが、定義があいまいなため混乱を招いていると指摘されていた。内閣府によると、「ジェンダーフリー」の名の下に小中学校などで、運動会での騎馬戦を男女混合に変えたり、男女同室での着替えや宿泊を行うケースもあった。担当者は「性差を尊重するはずが、男女を同一にしなければいけないと誤解しているようだ」と話す。改定する基本計画では、定義を明確にしたうえで、誤った事例を列挙する方針。猪口氏は「現状は本来のジェンダーの概念とはまったく異なっている」と話している(毎日新聞)

*見つめすぎで61歳男逮捕 一目ぼれした女性(44)を、勤務する美容室前から執ように見つめたとして、大阪府警西成署は13日、大阪市西成区天下茶屋1、無職、川原政秋容疑者(61)をストーカー規制法違反(見張り行為)容疑で逮捕した。自転車で通り過ぎる際に女性を見ていただけだったが、多い日には26回も繰り返していた。調べでは先月26日〜今月6日、女性が経営する西成区内の美容室前を通り過ぎる際、店内で働く女性を計46回にわたり見つめるなどした疑い。「好みの女性だった」と容疑を認めているという(毎日新聞)
*巡査長、取調べ中にワイセツ行為 女性の容疑者を取り調べ中にわいせつな行為をしたとして、大阪府警刑事特捜隊は9日、特別公務員暴行陵虐の疑いで摂津署刑事課の巡査部長徳川敏郎容疑者(47)を逮捕した。「女性からアプローチされ、自分も好意を持った。あってはならないことだった」と容疑を認めているという。府警は近く徳川容疑者を懲戒免職処分にする方針。府警では今年7月、取り調べ中に女性容疑者(22)の胸を触るなどしたとして、同容疑で東住吉署刑事課の警部補(49)が逮捕されたばかり。調べでは、徳川容疑者は今年7月7日から8月22日ごろの間、摂津署の取調室で複数回、詐欺事件の容疑者として取り調べていた大阪市の無職女性(41)の顔にキスをしたり、胸や股間を触るなどした疑い(共同通信)
*ホルモン補充療法、日本では乳がん減少 12.07

女性の更年期障害の「ホルモン補充療法(HRT)」は、海外の研究結果から乳がんにかかる危険性を高めると知られているが、厚生労働省研究班調査の中間解析では、使っていない人に比べ乳がんの発症リスクが3割ほど低くなることがわかった。日本では使用期間が短い、ホルモン剤を1種類しか使わないことが多い、などが逆の結果が出た理由として考えられる。HRTの是非は世界的に論議の的になっており、今回の結果は注目を集めそうだ。9日に米国サンアントニオで開かれる乳がん学会で発表される。研究班は昨年9月から今秋にかけ、国内7施設において、45〜69歳の乳がん患者2547人と一般女性2113人を対象に、HRT経験の有無を調べた。乳がん患者のHRT経験者は132人(5.2%)で、一般女性の方が経験者は162人(7.7%)と多く、統計上、HRTをした方が乳がんになるリスクが34%低かった。HRTの使用期間は、半数近くが1年未満で、約8割が5年以内だった。多くは卵胞ホルモン(エストロゲン)だけで、黄体ホルモンを併用していたのは1割ほどだった(朝日新聞)

*30,40代のED深刻

バイアグラの登場によって、治療が容易になったとされるED(勃起(ぼっき)障害)。しかし、患者数は糖尿病に匹敵するといわれ、子どもを希望する30〜40代の患者の悩みは深刻だ。東邦大学医学部泌尿器科学講座の永尾光一講師に、30〜40代のED治療の現状とポイントについて聞いた。EDとは、医学的に「勃起が起きなかったり勃起が維持できないために、満足に性交が行えない状態」を指す。30代以上を対象に実施した日本性科学情報センターの全国調査から推計すると、国内の患者数は87年の300万人から、98年には1130万人に増えた。内訳は、ときどき性交ができなくなる「中等度ED」が870万人、常にできない「完全ED」が260万人。10年余りで約4倍に増えた原因は、若い世代のストレス増などが考えられるという。99〜04年の6年間で、東邦大学大森病院リプロダクションセンターを受診した患者は30代が最も多く、患者全体の33%を占め、次が40代で20%。患者全体の4割が子どもを希望している。
■不妊治療も重圧に30〜40代のEDの原因はほとんどがストレスで、身体の機能に問題がある人は1割程度。症状は▽マスターベーションならできるが、いざ性交となると興奮しない▽過去に勃起しなかったことがあり、またできなかったらどうしようという失敗不安に陥っている−−などだ。不妊治療で「排卵日だからセックスを」というのが重圧になり、EDになる人も結構いる。
■精子への影響なし受診すると、医師がEDの起きた時期や、既往歴などについて問診する。ホルモンバランスを見る血液検査用の採血、うつ傾向があるかどうか見る心理テストなどを経て、薬が処方される。治療薬であるバイアグラやレビトラの副作用はほてりが強くなる程度で、精子への影響などはない。性行為の1時間前に服用するが、多少なりとも性的興奮がないと効かない。飲酒した場合などは効果が変化するため、安定した効果が得られるようになるには7、8回かかるという。治療のポイントは、パートナー同士がお互いを理解し、EDという病気をよく知ることだ。男性が勃起しなくても女性はなじったりせず、相手の不安を取り除くように心がける。薬はあくまでもパートナーとのコミュニケーションを回復させるものだ。大体の人が半年で薬なしでも勃起可能になり、服用をやめられるようになるという。「EDはセックスをしながらでしか治せない」(永尾さん)ため、性交回数の少ない人は長くかかり、多い人ほど早く治る。EDの治療は保険が利かないため、全額自己負担になる。目安としては、検査に1回1万5000〜2万円程度、薬代は1錠千数百円かかる。薬の処方せん料は1400〜数千円程度だ。
◇男女間に意識の差日本では性についてオープンに話しにくい雰囲気があり、病院に行くだけでも一大決心を要する人が多い。永尾さんは「男性自身はマスターベーションができるのでEDについての問題意識が低いが、パートナーの女性は、セックスを求められないことについて独りで悩むことが多い。男性は、男女間に意識のギャップがあることも知り、まず受診してほしい」と話している(毎日新聞)

*眠っている女性と寝ぼけてSEXで強姦無罪 カナダ・オンタリオ州の法廷で、「眠っている間に関係を持ってしまった」という証言が認められ、強姦罪に問われていた男に無罪判決が言い渡された。この男は眠りながら性行為に及んでしまう「セクソムニア」と呼ばれる病気を患っているとされている。オンタリオ州検事総長事務局は木曜日、異例なケースであるため、別な可能性について再度調査を行う必要があると述べ、再審を視野に入れていることを明らかにした。「次のステップを決定するために、我々は今回の事件を入念に調査するつもりです」と当局の広報担当者、ブレンダン・クローリー氏は語る。強姦罪に問われていたジャン・ルエデッケ(33歳)は火曜日、行為中に眠っていたことが認められ、無罪判決を言い渡された。睡眠専門家は法廷において、ルエデッケが眠っている間に性交渉に及んでしまう「セクソムニア」を患っていることを証言した。また、被害者の女性が法廷で証言したところによると、ルエデッケとはパーティーで出会ったという。眠ってしまい目が覚めたところ彼とセックスしている最中で、驚いた彼女はルエデッケを押しのけて警察に通報したとのこと。ルエデッケは警察当局に対し、「自分がコンドームを着けていることに気付き、そのとき初めて彼女と行為に及んだことを理解した」と供述している。カナダのメディアは、「無罪判決を聞いた被害者女性は、涙を流しながら法廷を去った。この事件は最高裁まで争われる可能性がある」と報じた(Excite/ロイター)
*神経成長因子が「恋心」に関与 12.01 イタリア・パビア大学の研究者チームはこのほど、学会誌「精神神経内分泌学」で、人の恋する感情は神経成長因子(NGF)という分子の働きが影響している、とする研究結果を発表した。研究者チームの調査によると、最近激しい恋に落ちた58人のNGFの血中濃度は、交際相手のいない人のグループや長期間交際をしている人のグループに比べ、かなり高かったという。ただ、同じ恋人との交際期間が1年を超えると、NGFの血中濃度は他のグループと同程度まで低下した。研究者チームは、恋をすると、なぜNGFの血中濃度が高くなるのかははっきりしないものの、交際が始まる前の「社交上の相性」にNGFが大きな影響を及ぼしていることは明らかだとしている(ロイター)
*15歳少女がキス後に急死、アレルギー? カナダのケベック州サゲネーの病院は29日までに、15歳の少女、クリスティーナ・デフォルジュさんが交際相手の少年とキス後、急死したことを明らかにした。一見不可解な死だったが、「犯人」として浮上したのは、ピーナツアレルギーのショック症状。16歳の少年は、デフォルジュさんが極度のピーナツアレルギーと知らず、キスする約9時間前にピーナツバターを塗ったトーストを食べていた。デフォルジュさんは病院で手当てを受けたが、数日後の今月23日に死亡した(時事通信)
*偉大なアーティストに共通のセックスライフ パブロ・ピカソ、バイロン卿、ディラン・トーマスは、その創造力以上の共通項がある。研究者が30日、明らかにしたところによると、それは奔放なセックスライフ。決して偶然ではないという。ニューカッスル・アポン・タイン大学とオープン大学の心理学者たちは、職業アーティストや詩人は、一般人より2倍のセックスパートナーを持つという。創造性が性的磁力のように作用している可能性がある。ニューカッスル大生物学部の心理学者、ダニエル・ネトル博士は、こうした資質は諸刃の刃だという。「詩人やアーティストはより多くのセックスパートナーに恵まれますが、鬱病にかかる率も高いのです」ネトル博士と、同僚のヘレン・クレッグ氏は、職業アーティスト、詩人、統合失調症患者を含む男女425人を対象に、創造能力、異性との出会い、精神衛生の特徴などを質問した。創造的な人々はこれまでも積極的なセックスライフと関連づけられてきたが、研究者たちは今回の研究はそれを実際の調査によって裏付けたと確信している。研究によると、職業アーティストと詩人には4人から10人のセックスパートナーを持つが、一般の人は平均3人。ネトル博士は医学誌「The Proceedings of the Royal Society (B)」に発表した論文で「これは男女問わずに見られる傾向で、非常に驚いた」と書いている。また研究によると、セックスパートナーの平均的人数は作品の数が増えるにしたがい増加する傾向にある。アーティストの作品がセックスパートナーの注意を惹き、性的魅力を増幅するものと見られる。「極めて創造的なタイプの人は、ボヘミアンスタイルの生活を送り、性的衝動と機会に従い、単に経験のために行動する傾向が強いのです」アーティストの奔放なセックスライフはしばしば大目に見られ、長期間のパートナーも誠実さや貞節さをさほど期待しない傾向があるという。ピカソ、バイロン、トーマスはその芸術と女性に対する魅力で有名だ。ネトル博士は「彼らはこうした現象を非常に良く体現していました。多くの喝采と多くの女たちです」と語った(Excite/ロイター)


*広島女児殺人、ワイセツ目的?ペルー人逮捕 11.30 広島市安芸区の市立矢野西小1年、木下あいりちゃん(7)が殺害された事件で、広島県警海田署の捜査本部は30日未明、殺人、死体遺棄容疑で逮捕状を取っていた現場近くのアパートに住む日系ペルー人の職業不詳ピサロ・ヤギ・フアン・カルロス容疑者(30)を、三重県鈴鹿市内の知人宅で逮捕した。自宅からは女児の遺体が入れられていた段ボール箱に入っていたと見られるガスコンロが見つかった。カルロス容疑者は容疑を否認している。県警は、カルロス容疑者が、1人で下校中の女児を見かけ、わいせつ目的で自宅に連れ込んだとみて、詳しい動機や犯行の経緯を追及する。調べによると、カルロス容疑者は22日午後0時35分ごろから同2時35分ごろにかけて、同区矢野西4のアパートの自室で、女児の首を絞めて殺害。部屋にあったガスコンロの段ボール箱に遺体を入れて絶縁粘着テープで閉じ、南西約100メートルの空き地に遺棄した疑い。県警は、犯行が短時間で狭い範囲内で行われたことから、犯人が遺棄現場と極めて近い地域に住んでいるとみて、周辺を重点的に捜査した。その結果、カルロス容疑者が遺体が入っていた段ボール箱で梱包(こんぽう)していたガスコンロを同県東広島市内のディスカウントストアで購入していたことや、事件当日の午後1時前に、アパート前で女児とみられる女の子と話していたとの目撃情報があったことが判明。さらに遺留品の分析などから、カルロス容疑者の犯行が裏付けられたとして、29日逮捕状を取り、指名手配していた。カルロス容疑者は27日ごろからアパートからいなくなり、県警が行方を追っていたが、30日午前2時、立ち回り先の鈴鹿市内の知人宅で寝ていたカルロス容疑者を発見、逮捕した(読売新聞)
*胎盤の大きさと乳がんの関係 妊娠期間に形成される胎盤が重いほど、その女性が閉経時までに乳癌(がん)になるリスクが大きいことが、スウェーデンのカロリンスカ(Karolinska、ストックホルム)研究所教授のSven Cnattingius博士らの研究で明らかにされ、米国医師会誌「JAMA」11月16日号に掲載された。 胎盤とは、胎児への栄養供給のため一次的に形成される臓器。乳癌の正確な原因は未だ明らかにされていないが、発症リスクの増大にホルモンが何らかの役割を果たしているのは明らかであり、妊娠期間にはホルモン値が急激に増大する。Cnattingius博士によれば、「妊娠期間のホルモンは主に胎盤によって産生される。最も強力なエストロゲンであるエストリオールの値は、胎盤の重量とともに増大することが報告されている。このことから、母体の乳癌発症のリスクが胎盤の重量に伴って増大するのではないかと考えられる」という。この仮説を検証するため、Cnattingius博士らは1982〜1989年にスウェーデンの出生登録に記載された女性30万人以上のデータを再検討した。このうち、乳癌の発症をみた女性2,216例(95%は50歳前に診断)を対象として胎盤の重量を評価したところ、700g以上であった女性の乳癌発症のリスクは、500g以下の女性よりも38%高かった。2回の妊娠を経験した女性を評価したところ、2回の出産時の胎盤がいずれも500g未満であった女性と比べると、一方の妊娠時に500〜699g、他方の妊娠時に700g以上であった女性はリスクが82%高く、2回とも700g以上であった女性はリスクが2倍となることがわかった。米国癌協会(ACS)乳癌・婦人科系癌対策部門部長のDebbie Saslow 氏は、今回の研究結果を興味深いものであるとした上で、「この結果は原因と結果を示すものではなく、単に相関関係を示すものである。相関リスクは小さく、ライフスタイルの変更を勧告するものではない」と指摘する。乳癌を予防するのに有用なことは、十分な運動、健康的な食事、過度の飲酒を控えることであり、このような予防措置は、心疾患や糖尿病のリスクを低下させることにもつながるという(HealthDay)
*ネット上にアイコラ掲載で逮捕 タレントの顔写真にヌード画像を組み合わせた合成写真「アイコラ」(アイドルコラージュ)をインターネットのウェブサイトに掲載したとして、警視庁目黒署は26日、サイト管理者の会社員、荒里志容疑者(26)=札幌市中央区北二条西=と国土交通省所管の財団法人「航空保安施設信頼性センター」東京空港無線保全事務所長、山下学容疑者(58)=横浜市青葉区荏田町▽板金塗装業、木田竜也容疑者(42)=愛知県尾張旭市庄中町塚坪=ら投稿者3人を名誉棄損容疑で逮捕した。ネットに掲載されたアイコラの摘発は警視庁として初めて。調べでは、4人は04年8月〜今年2月、荒容疑者が管理するアイコラ専門サイトに、人気タレント新山千春さんを使ったわいせつな合成写真を掲載した疑い。いずれも容疑を認めている。新山さん側が告訴していた。山下容疑者は元国交省職員で今年4月まで同省大和航空路監視レーダー事務所長だった(毎日新聞)
*地裁判事、アリャリャな助平度 「我慢できない」「淫乱(いんらん)女」。熊本地・家裁人吉支部の男性判事(42)が、出会い系サイトで知り合った30歳代の女性に対し、勤務中に携帯電話でエッチなメールを送信するなどして、同地裁所長に辞表を提出していたことが21日、分かった。法服の下に隠されていた素顔は、トンデモ男だった。 最高裁事務総局などによると、判事は昨年9月、出会い系サイトに「私はS(サディスト)で専属の奴隷を探しています」と書き込み、知り合った女性に実名と職業を明かし、同年11月から先月までの間、卑猥なメールを送信した。今週発売の「週刊ポスト」によると、メールは「ママ、とってもとっても気持ちいい。我慢できない。ママの上品なお口にオモラシしてもいい?」という“赤ちゃんプレー”や、「お前の身体も下着も私の唾液(だえき)とミルクでしみだらけにしてやる。しゃがんで足を広げてごらん。純白の下着に染みが。お前の蜜だねぇ。淫乱女」などの“言葉責め”を楽しむものもあった。そのほか、パンツ1枚の姿で“息子”を膨らませた画像や、勤務中に撮影したとみられる法服姿の自分の写真も送信。何度も「ホテルで会おう」と誘い、“調教代”として女性に5−10万円を要求するメールも送っていた。自分が担当した裁判についても言及していたという。「これは不倫だから」と妻がいることを告白し、ほとんどのメールは勤務時間の9−17時に送信されていた。実際に女性と会ったことはなかった。同判事は任官15年目で民事事件や少年事件を担当し、一昨年4月から人吉支部で勤務。地裁所長に事実関係を認め、自宅で謹慎している。辞表も提出したが、地裁は調査が終了した時点で、受理するか懲戒処分の手続きに入るか決める。あきれた性癖のせいで、気づかないまま裁かれる側に回ってしまったようだ(ZAKZAK)
*エイズ感染者、4000万人突破

国連エイズ合同計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は21日、世界のエイズウイルス(HIV)感染者が初めて4000万人を突破、今年末時点の推計で4030万人に達すると発表した。世界規模での感染増加は落ち着きを見せ始めているが、東アジアや東欧、中央アジアでは依然として平均を上回る増加が続いている。この日発表された05年版報告書によると、今年の新たな感染者は490万人、死者は310万人。どちらも、前年と同水準だった。今年末現在の東アジアでの感染者数は87万人。昨年版報告書は110万人と推計したが、中国が人数を下方修正した模様だ。ただ、UNAIDSは「東アジアの感染者数は03年に比べると25%増えており、感染拡大の傾向は変わらない」と警告している。南アジア・東南アジアの感染者は740万人。タイでは人口に対する感染者の比率が1.5%と近年でもっとも低いレベルに下がった。だが、売春婦に対する最近の調査では、一時は100%近かったコンドーム使用率が5割程度に落ち込んでいるという。世界の感染者の半数以上がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で2580万人。アフリカでは抗ウイルス薬治療を受けているエイズ患者は1割だけで、世界中の死者の8割がサハラ以南に集中している。日本については▽感染者の6割が男性同士の性行為による感染である▽若い世代が性行為での感染予防を怠っているために30歳以下の若者が感染者の約3分の1を占めている−−と指摘している(毎日新聞)

*性別認識、女子学生は中性化 自らの性別認識について、中性をはさんで男と女を両極にした13段階で尋ねた項目では、男子学生は大多数が男側に答えたのに対し、女子学生は中性に近い回答が目立った。性的少数者に対する知識では、性同一性障害については76%が知っていると答えた。同性愛者らの恋愛は「個人の自由」とする一方で、自分の恋愛対象としては避ける傾向が目立った。恋愛に対しては肯定派が8割に上る一方、「強迫観念がある」という意見もあり「異性にもてるのが良いことというファッション誌などの影響が強い」と分析している。性感染症の予防手段としてコンドームを挙げたのは約4割で、ピルなど効果のない方法を答えた学生が約3割に上った。20日午後3時から、多様な性と生の価値観を問い直す「レインボーパレード」を立命大を発着点に実施する(京都新聞)
*精子卵子形成のたんぱく質発見 11.18 未成熟な生殖細胞が精子や卵子になる際に起きる「減数分裂」の進行に欠かせないたんぱく質を、東北大加齢医学研究所の松居靖久教授らのグループがマウスの実験で発見した。減数分裂は生物が精子や卵子を作るのに欠かせない細胞分裂。不妊症の治療法開発に結びつく成果として注目される。17日付の英科学誌ネイチャーで発表される。たんぱく質は「マイセッツ」と名付けられた。松居教授らは、マイセッツを作る遺伝子を持たない雌雄のマウスを育て、精巣や卵巣を調べた。減数分裂が初期段階で停止し、精子や卵子が全く作られておらず、生殖能力がなかった。遺伝情報を担うDNAは、細胞内で染色体という形で存在し、通常は父、母それぞれ由来の染色体が1セットずつある。しかし、精子や卵子には、父、母どちらか一方の由来の染色体しかないため、未成熟な生殖細胞が精子や卵子になるには、染色体の数を半分に減らす減数分裂を経なければならない。松居教授は「マイセッツと構造が似た遺伝子はヒトにもある。ヒトの不妊症の一部はこの遺伝子の異常によって起きている可能性もある」としている(読売新聞)
*羊膜バンク、今後に期待

赤ちゃんが大きくなって移植手術を受けなければいけなくなった時に備え、捨てていた胎盤の一部、羊膜を取っておきませんか――。そんな「羊膜細胞バンク」が登場した。体内のいろいろな細胞に分化する能力を持つという羊膜の幹細胞だが、現在の医療現場での実用はまだ。「将来の可能性に投資する」ビジネスで、慶応大の研究・診療チームから研究開発の協力も取り付けた。横浜市のベンチャー企業「バイオ・リジェネレーションズ」(坂上正行社長)が始めた。出産直後、担当医師は羊膜を名刺大に切り取って保存液が入った試験管に入れる。契約者がこれを宅配便で送れば、細胞は培養・増殖の後、冷凍保存される。保存期間10年、9万円(消費税別)で更新も可能という。同社は10月、慶応大医学部の研究・診療チームと羊膜の採取と研究開発の協力を取り付けた。大学側では来年から系列病院に採取の協力を呼びかけるほか、研究開発面でも支援していくという。親は赤ちゃん本人の代理人として出産前に契約を交わす。同社では悪用を防ぐため、細胞の使用は本人に限り、預かった細胞を返還する場合は担当医師に限るなど独自の規制を設けている。契約1号は今年8月。都内に住むバイオ・ベンチャー社長(34)の息子だった。社長は「将来、息子の役に立つならば」と話すが、大病院での採取の実績もなければ学会で太鼓判を押された技術でもなく、かかりつけの産科医はしぶったという。坂上社長は「慶大との連携が広まれば、一般の産院の理解も進む。将来、再生医療技術の恩恵を受けるには保存しておく必要がある」とバンクの意義を強調する。羊膜の幹細胞は、骨や心筋、神経などに分化する能力があることは知られているが、実用は発展途上の段階。慶大医学部の清水信義教授(ヒトゲノム解析)は「幹細胞がどんなタイプの細胞に活用できるかなどはまだ解明が進んでいないが、再生医療の将来性は十分に期待できる」と話している(朝日新聞)

*英国男性、HIVウィルス自力克服? 11.16 2002年にロンドンの病院で受けた3回の検査でエイズウイルス(HIV)陽性とされた英国人男性(25)の体内から約1年後、同ウイルスが完全に消滅、陰性との検査結果が出たことに専門家らの注目が集まっている。13日付の英紙などが報じた。男性は陽性と診断された後、複数の栄養補助食品の摂取を始めたが、投薬治療などは受けていなかった。エイズの根本的な治療方法は確立されておらず、医療関係者は男性が自身の免疫でウイルスを消滅させたとすればエイズ治療の分野で「驚くべきことになる可能性がある」としている(共同通信)
*RNAでガン抑制に成功

がんの増殖にかかわる遺伝子の働きを止める物質を、微小なカプセルに入れて患部に送り込み、がんを抑える動物実験に東京大学の永井良三教授と協和発酵工業のグループが成功、14日、米ダラスで開かれた米心臓協会で発表した。新たながんの治療法の開発につながりそうだ。永井教授らは、動脈硬化やがんの増殖にかかわる「KLF5」という遺伝子を02年に発見、この働きをリボ核酸(RNA)で抑えられないかと考えた。RNAは、細胞の中でDNAの遺伝情報を写し取り、たんぱく質をつくる時に働くと考えられてきた物質だが、遺伝子の働きを抑えるためにも利用できる。「RNA干渉」と呼ばれ、この現象を使った治療法開発の競争が激しくなっている。グループは、血液中で不安定なRNAを患部にピンポイントで届けるために、直径100ナノメートル(ナノは10億分の1)のリポソームと呼ばれる脂質の膜でできた微小なカプセルを作り、KLF5を抑えるRNAを閉じこめた。このサイズにすると、がんのまわりのもろい血管からカプセルがにじみだし、がんに作用させることができる。がんのマウスに、この薬を与えると、がんに栄養を送る血管が新たにできるのを抑え、がんの増殖も抑えられることがわかった(朝日新聞)

*遺伝子で愛の「相手性」を決定 11.12

一つの遺伝子が脳の中で働くか働かないかで、オスに求愛するかメスに求愛するかの行動が変わることを、北海道教育大の木村賢一教授(発生遺伝学)らがショウジョウバエで確認した。そのまま人間に当てはまるわけではないが、ハエでは、ある遺伝子のオン・オフで脳の神経回路網そのものがオス型になったりメス型になったりすることを初めて明らかにしたという。10日付の英科学誌ネイチャーに発表する。ショウジョウバエには「フルーツレス(実らない)」という、オスだけで働く遺伝子がある。この遺伝子が壊れたオスはメスへの関心を失い、オスに求愛したりする。 木村さんたちは、脳の中でフルーツレスが働いている細胞を調べ、オスとメスは一部で神経回路パターンそのものが異なることを見つけた。メスの遺伝子を操作してフルーツレスが働くようにすると、オスそっくりの回路ができ、行動の面でも他のメスに対して迫るようになった。木村さんは「フルーツレスは哺乳(ほにゅう)類では見つかっていない。人間の性行動は、多くの遺伝子や環境などの要因が複雑に絡み合っているのではないか」と話している(朝日新聞)

*「ジェンダーフリー」蔓延度調査 男らしさや女らしさなど性差を否定したり、伝統文化を否定するジェンダーフリー教育が学校に持ち込まれている問題で、文部科学省は都道府県教委と政令市の教育委員会に文書を通知、全国の公立学校と幼稚園の実態調査に乗り出した。ジェンダーフリー教育をめぐっては過激な性教育とともに同省が設置した「教育御意見箱」に苦情や通報があり、自民党による調査でも全国から約三千五百件の保護者の苦情や告発が相次いでいる。具体的な「ジェンダーフリー蔓延(まんえん)度」を初めて調べるもので十二月半ばまでの回答を求めている。今回の調査対象はすでに行われている性教育の実態調査は含まれておらず、学校における男女の取り扱いが中心。(1)小中高校などの調査項目では静岡や山形、宮城県などで明るみに出た「キャンプや林間学校、修学旅行などのさいの男女同室の宿泊」の実態(2)川崎市の高校で判明した「体育の授業や身体測定のさいの男女同室での着替え」の状況などを全国規模で調べる。さらに「運動会や体育祭の騎馬戦や徒競走を男女混合で行っている」「教職員や児童生徒の呼び方を男子も女子も統一的に『さん』としているか」「保護者から苦情があったか」−なども調査項目に取り入れた。幼稚園に対しては「桃の節句や端午の節句などの行事を男女平等の観点から取りやめているか」などを調査する。文部科学省では三月から五月にかけて「教育御意見箱」を設置。手紙や電子メールなどで全国の保護者などからジェンダーフリー教育に関する苦情が数百件に及んだ。自民党も並行する形で「過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する実態調査プロジェクトチーム」が情報提供を呼びかけたところ、学校の性教育や男女の取り扱いに対する保護者らの不平不満が三千五百件にも達していた。ただし、調査はあくまで今年度以降の現状に関する調査ですでに見直しが施された場合は回答に反映されない。同省では「児童生徒の発達段階を無視するなど不適切な事例があれば指導が必要だが、そのためには調査結果を受けてさらに個別に詳しく実態を調べる必要があり、調査には時間がかかる」としている(産経新聞)
*生命誕生、知的計画か天地創造か

生命の誕生には何らかの知的計画が関与したとする「Intelligent Design(知的計画=ID)」を授業で教えようとする動きが出ている米国で8日、二つの相反する判断が出された。カンザス州では、生物の授業で知的計画を教えられるようにするカリキュラム改訂案を教育委員会が承認した。一方、ペンシルベニア州ドーバー地区では、学校区委員の選挙で、全9委員のうち改選された8委員すべてをID反対派が獲得した。米国では、進化論支持者と、旧約聖書で神が天地をつくったとする天地創造説支持者の対立が続いてきた。世論調査によると過半数が創造説を信じているが、憲法の政教分離原則のため、公立学校で「生命は神がつくった」とは教えられない。ID推進派は、生命誕生のなぞに進化論は答えられず、生物が誕生して固有の形をもつようになった背景に何らかの知的計画があると主張する。進化論支持派はIDについて天地創造説の「神」を「知的計画」に置き換えただけだと主張する。現地からの報道によると、カンザス州教委は、「生命誕生をめぐる科学的な論争」を教えるとするカリキュラム改訂案を6対4で可決。直接言及していないが、授業で進化論だけでなくIDにも触れることを示す。 ドーバーでは昨年、生物の授業で「進化論には『穴』があり、IDは穴を埋める理論の一つだ」とする文書を教師が読み上げることを学校区委員が決めた。これが政教分離原則に反するとして法廷論争が続いており、委員選挙でID推進派と反対派がぶつかった(朝日新聞)

*産婦人科医・小児科医減少傾向歯止めきかず 11.07

医師不足が深刻な「小児科」や「産婦人科」を置く病院が減り続けていることが、厚生労働省の04年医療施設(動態)調査・病院報告でわかった。全国で小児科がある病院は、前年比1.6%減の3231カ所で、産婦人科は3.6%減の1469カ所だった。ともにピークだった90年と比べると、小児科が21.6%減、産婦人科が32.9%減となり、歯止めがかからなかった。精神病院や結核療養所を除く一般病院のうち小児科は40.4%に置かれており、前年比0.4ポイント減。産婦人科は18.4%で同0.5ポイント減だった。一方、循環器科は、前年比80カ所増の3674カ所、リハビリテーション科は同69カ所増の4989カ所、神経内科は同48カ所増の1742カ所で増加が目立った。病院(ベッド数20床以上)全体は9077カ所で前年と比べて0.5%の減で、このうち一般病院も0.6%減の7999カ所だった。診療所(19床以下)は同1.0%増の9万7051カ所で、88年以降増え続けている。1日のうちに病院の外来を訪れる平均患者数は、00年の約181万人をピークに減っており、04年は約161万人で同3.2%減った。都道府県ごとに人口10万人に対する割合でみた場合、1日の外来患者数はもっとも多い高知県が1913.3人、もっとも少ない埼玉県は981.2人だった。入院患者の平均入院日数は、36.3日で前年より0.1日短くなった。このうち、一般病床は20.2日で前年比で0.5日短くなったのに対し、療養病床は172.6日で0.3日伸びた(朝日新聞)

*卵子の不法斡旋で韓国ブローカーら逮捕

ソウルの警察当局は6日までに、不妊に悩む日本人女性に韓国人女性の卵子を不法にあっせんしたとして、「生命倫理および安全に関する法律」違反などの疑いでブローカーらのグループ11人を逮捕した。警察当局によると、グループは02年12月ごろから今月1日まで、韓国人女性から卵子を300万ウォンから500万ウォン(約33万円から約56万円)で買い取り、日本人女性に1700万ウォン(約190万円)で提供していた。ソウル市内の産婦人科病院で受精卵を女性の体に移すなどして、249人の日本人女性から計42億ウォン(約4億7000万円)を受け取ったとされる。韓国では今年1月に生命倫理・安全に関する法律が施行され、卵子の売買が禁止されている。グループは東京都渋谷区にも事務所を設置。「韓国の若い女性の卵子を提供できる」などと勧誘していた。押収された名簿には、約380人分の日本人女性の名前が記されていたという。警察当局は卵子を購入した日本人についても捜査を進める方針だという。またグループはインターネット上に卵子売買サイトを開設して、クレジットカードの借金に苦しむ韓国人女性などから卵子の提供を受けていた。サイトの会員数は約2000人。身体的特徴や学力、容姿などの条件に応じて、卵子の買い取り金額を決めていたという。生命倫理を研究するシンクタンク科学技術文明研究所(米本昌平所長)の報告によると、卵子売買や代理母のあっせんをする韓国グループの日本事務所は、生命倫理・安全に関する法律が韓国で今年1月から施行されることになったため、04年12月で日韓両国内での営業を中止したという。だが、米国やほかのアジアの国に移転して活動を続ける可能性を指摘している(朝日新聞)

*悪質リフォーム「幸輝」が中国買春ツアーの張本人 高齢者に悪質な住宅リフォーム契約を結ばせ、現金をだまし取ったとして、埼玉県警と京都府警は七日、詐欺と特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで、住宅リフォーム会社「幸輝」(大阪府吹田市、谷尻浩社長)の本社や東京支店(東京都大田区)など関係先数カ所を家宅捜索。埼玉県警は詐欺と同法違反の疑いで、同社の元従業員二人を逮捕した。同社は、不要なリフォームを繰り返され全財産を失った埼玉県富士見市の認知症の姉妹が契約を結んだ十九業者のうちの一社で、強制捜査が入ったのは今回が初めて。逮捕されたのは東京都日野市日野本町、会社員、白石友一(37)とさいたま市桜区神田、会社員、上條陽介(27)の両容疑者。調べに対し、いずれも容疑を否認しているという。埼玉県警の調べでは、白石容疑者らは平成十六年十月九日から十日にかけて、埼玉県上尾市の無職男性(71)宅を訪問し、「お宅の屋根は波を打っているように見える。屋根裏の柱の間にすき間があり、大地震が来たら屋根が崩壊する」などといって屋根裏工事契約を交わし、十一日、天井裏に不要な金具など二百七十七点を取り付けるなどの補強工事を行い代金四十二万円をだまし取った疑い。男性は妻と子供の四人家族で、認知症などの症状はなかった。一方、京都府警の捜索容疑は、別の従業員の男が今年三月、京都市内の七十歳代の女性に「天井裏に金具をつけないと、地震が来たときにつぶれる」などといい、四十万円の不必要な耐震補強工事契約を結んだ疑い。吹田市の幸輝本社には午前八時十五分、捜査員が段ボールを持って捜索に入った。五階建てビルの出入り口や窓は閉め切った状態で、社員の姿などは見られず、ひっそりとした様子だった。
≪羽振りよく中国買春騒動も≫悪質リフォームで摘発された建設会社「幸輝」が、世間の話題を集めたのは平成十五年。同社は九月に社員旅行で広東省珠海市を訪れたが、それが「集団買春ツアー」だった−と報じられた。中国の地元紙は、同社の社員が中国人ホステス約二百人を呼び、集団買春をしたと報道。中国捜査当局は、組織買春にかかわったとして地元のホテルやナイトクラブの関係者を摘発した。この事件は、日本国内では一部のメディアを除き同社の名前を伏せて報道されたが、反日感情が高まるなどしたため、外務省が同社の取締役から事情を聴いた。「会社として組織的に買春を行った事実はない」という同社の説明を受けて、逢沢一郎外務副大臣(当時)が会見。「海外で女性の尊厳を傷つける行為が行われたとすれば極めて遺憾。日本人の行動に誤解を招くことのないよう指摘を行った」と述べた。事件については、同年十二月の裁判で、あっせんした中国人の二被告が無期懲役となり、幸輝の社員三人が国際手配された。当時の同社は「成長率200%」をうたうなど急成長期。中国への社員旅行も成績優秀者の表彰を兼ねたものだった。集団買春の事実関係はともかく、羽振りのよさも話題になったが、実は悪質リフォームで荒稼ぎしていた(産経新聞)
*乳がん検診、4,50代も超音波検診有効 11.05

乳がん検診で乳がんと診断された人のうち、40代の2割近くと50代の約3割がマンモグラフィー(乳房X線撮影)では見逃され、超音波で見つかっていたことが、栃木県保健衛生事業団のまとめでわかった。昨年4月に国の指針が改正され、40歳以上はマンモグラフィー検診の対象となったが、まだ乳腺密度の濃い人もおり、がんが見落とされやすい。「超音波検診の併用が必要ではないか」と指摘する。4日から京都市で開催する日本乳癌(にゅうがん)検診学会で発表する。同事業団は00年度以降、マンモグラフィーと超音波の併用検診を導入している。00〜04年度に検診を受けた延べ6万9220人のうち、乳がんと診断された人は166人だった。40代でがんが見つかった42人のうち、マンモグラフィーでは発見できず、超音波のみで発見された人は7人(17%)、50代では56人中、16人(29%)に上った。マンモグラフィーは脂肪部分は黒く写るが、腫瘍(しゅよう)部分は白く写る。乳腺組織も白く写るため、乳腺密度の濃い人はがんが隠れて見えにくくなる。乳腺密度は女性ホルモンと関係し、年齢が上がるにつれ薄くなり、マンモグラフィーの効果が上がるとされる。一方、超音波は乳腺の濃さに影響されないが、がんを見つけられるかどうかは、撮影する技師の技量に非常に左右されるという課題がある。現在、厚生労働省の研究班が、指針の対象外となった30代も含め、超音波検診導入に向けての基準などを検討中だ。 同事業団の市村みゆき・健診検査部長は「日本では乳がんにかかる人の割合は40代が最も多い。見落とさないためには超音波の併用を検討すべきだ」と話す(朝日新聞)

*韓国、クローン技術治療に申し込み殺到 患者の細胞からクローン技術で胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を作成、治療研究する世界初の細胞バンク「世界幹細胞ハブ」(本部・ソウル大)が1日、患者からの細胞提供の受け付けを開始、3日までに1万人以上が登録した。ES細胞は、皮膚組織などから採取した体細胞をもとにつくるクローン胚から得られ、どのような細胞にも成長できる万能性を持つ特殊な細胞。ハブの責任者の黄禹錫ソウル大教授がこの分野で先進的な成果を挙げ、韓国政府が全面的に研究を支援している。
 募集枠はパーキンソン病患者ら100人だが、初日の受け付け開始直後には治療につながると期待する患者らのアクセスが殺到しホームページが一時ダウン。ソウル大には「回復の最後の望み」と考える患者らが夜明け前から並んだ
(共同通信)
*飲む発毛薬、過大な期待に警告 国内初の飲む発毛薬「プロペシア」(一般名・フィナステリド)が年内にも発売されるのを受け、輸入・販売する万有製薬(本社・東京都)には、厚生労働省が承認した10月11日以降、1000件以上の問い合わせが殺到している。薄毛に悩む男性は800万人とも言われ、「夢の薬」への期待は高まるが、以前から輸入している医師は「良い薬だが過大な期待は禁物」と話している。プロペシアは98年に米国で販売開始。日本では、男性型脱毛症の男性414人を対象に01年から臨床試験が行われた。毎日1錠(1ミリグラム)を1年間服用した139人のうち58%が改善し、40%が現状維持、薄毛が進行したのは2%だった。0.2ミリグラム服用の137人も同様の結果だった。これに対し、偽薬を服用した138人は、22%が進行し改善は6%にとどまった。厚労省は脱毛症の進行を遅らせる効果を認め、輸入販売を承認した。同社によると、予想以上の反響で出荷体制の整備に時間がかかり、発売が当初より約1カ月遅れるという。薬は脱毛の原因となる男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」を作る酵素の働きを抑える。このため精力減退などの副作用が現れ、服用を止めると元の薄毛に戻ってしまうという。7年前から輸入している「脇坂ナカツクリニック」(大阪市)の脇坂長興院長は「市販の育毛剤との併用で約8割の患者に改善効果があった。禁煙や十分な睡眠など生活パターンを変えることも必要だ」と指摘する。プロペシアの購入には医師の診断が必要。参考処方価格は0.2ミリグラムと1ミリグラムのいずれも1錠250円(毎日新聞)
*妊婦の体重増に目安設定

妊娠したら、出産までに、やせ気味の方は9〜12キロ、普通の方なら7〜12キロ太りましょう、などとする妊婦の体重増加の目安を、厚生労働省の研究会がまとめた。妊娠中も太りたくないと考える女性が増えて体重の少ない赤ちゃんが生まれるケースが目立っており、妊婦に正しい体重管理を知ってもらおうと、3月から研究してきた。目安の根拠にしたデータと必要な栄養素や食事なども記した報告書を12月にも公表する方針で、「食生活を見直すきっかけにしてほしい」(母子保健課)としている。厚労省によると、体重が2500グラム未満で生まれる赤ちゃん(低体重児)の全体に占める割合は93年では6.8%だったが、03年には9.1%に増えた。低体重児は呼吸や消化機能が未熟な場合がある。また、胎児期の栄養不良は成人後の生活習慣病を引き起こすという報告もある。医師や管理栄養士らでつくる研究会は、妊娠前の体格と低体重児出産や帝王切開などの出産リスクの関連に着目し、01〜03年の1780例について調べた。その結果、体格指数BMI(体重〈キログラム〉を身長〈メートル〉の2乗で割った数値)が18.5未満の「やせ」の女性では、妊娠後の体重増加が9〜12キロの場合の人の方が、それ以下しか増えない人よりも低体重児を出産するリスクが低い、などの結果が出た。同じように「ふつう」(BMI18.5以上25.0未満)の女性では7〜12キロの人の方がリスクが低かった。「肥満」(同25.0以上)では関連が確認できなかったため、健康な胎児と胎盤、羊水を合わせた重さの約5キロを目安にした。妊娠中期(16週から)以降の週単位でみると、やせ・ふつうともに0.3〜0.5キロずつ増えることが望ましいとしている。肥満の人については糖尿病など他の病気との関連もあって妊婦によって事情が違うため「個別対応」とした(朝日新聞)

*1000万年前の類人猿の化石発見

ヒトと現生大型類人猿(ゴリラ、チンパンジー)の共通祖先の可能性がある約1000万年前の類人猿の化石を日本・ケニアの共同調査グループがケニアで見つけた。中務(なかつかさ)真人・京大助教授(自然人類学)が横浜市で開催される日本人類学会で4日、発表する。人類進化の空白期を埋める貴重な手がかりだ。化石が発見されたのはケニア中部のナカリ山付近。化石は右の下あご部分で、メスのゴリラとほぼ同じ大きさだ。現在の類人猿は果物や葉などを食べるため歯のエナメル質が薄いが、この化石はエナメル質が比較的厚く、すり減り方も著しい。植物の根など硬くて繊維質のものを食べていたらしい。類人猿は2500万年前ごろ現れた。現生類人猿とヒトの共通祖先からヒトが進化したのは700万年前よりも古い時期と考えられているが、アフリカではその直接証拠となるはずの1300万年前から700万年前ごろまでの類人猿化石はほとんど見つかっていない。唯一の例外が1982年に京大グループが見つけた950万年前のサンブルピテクスの上あご化石だった。今回の化石はサンブルピテクスとはかなり違い、新しい共通祖先候補となる。今回の発見場所は、サンブルピテクスが見つかった場所から70キロほどしか離れていない。同じところで小さな類人猿と見られる化石も見つかっており、当時は複数種の類人猿が住めるような森林環境だったのではないかと推測されている(朝日新聞)

*スーフリ和田被告、懲役14年確定

早大生らのイベントサークル「スーパーフリー」(解散)のメンバーによる集団強姦(ごうかん)事件で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は、準強姦罪に問われた同サークル元代表・和田真一郎被告(31)の上告を棄却する決定をした。懲役14年とした一、二審判決が確定する。決定は1日付。和田被告は「深く反省して更生を誓っているのに刑が重すぎる」などと主張したが、第二小法廷は「刑事訴訟法上の上告理由に当たらない」と退けた。一、二審判決によると、和田被告は仲間と共謀して01年12月、東京・高田馬場のマンションで女子大生に酒を大量に飲ませて乱暴した。03年4月と5月にも、六本木の雑居ビルでそれぞれ女子大生を泥酔させて同様に乱暴した。この事件では、和田被告のほかに有名国立大・私大生ら計13人が起訴され、懲役2年4カ月〜10年の実刑が確定。和田被告が最も重い量刑となった。複数による強姦をより重く処罰する集団強姦罪を新設する契機にもなった(朝日新聞)

*子供の寿命は父親次第? 11.02 寿命の長さのバロメーターとされる染色体末端部の長さは、父親から子に遺伝し、母親からは遺伝しない可能性があることが分かった。スウェーデン・ウメオ大の研究チームが2日までに、同国の49家族を対象に分析した成果を米科学アカデミー紀要の電子版に発表した。原因はまだ分からないという。人間の遺伝情報を担うDNAは、24種類の染色体ごとにコンパクトに折り畳まれ、小さな細胞核に収納されている。この染色体の末端部「テロメア」の長さは、細胞が分裂を重ねるごとに短くなり、限界まで短くなると細胞が死ぬため、寿命を決める遺伝要因の一つとされる。一般に女性が男性に比べて長生きするのも、女性の方がテロメアが短くなりにくいためだと考えられている。研究チームは、49家族の計132人について、血液の単球細胞のテロメアの長さを分析。その結果、男性の平均テロメア減少率は年間25塩基対、女性は同16塩基対であり、定説が裏付けられた。さらに、父、母、息子、娘の4グループに分け、親子間のテロメア減少率の相関関係を調べると、父と息子や娘との間には統計的に強い関係があったが、母と息子や娘とは関係がなかった(時事通信)
*不妊あらため、「日本生殖医学会」改名 日本不妊学会(会員約4400人、1956年設立)は2日までに、名称を日本生殖医学会に変更することを決めた。岡村均理事長(熊本大教授)らによると、欧米では10年以上前から学会名称で「不妊」を使わない流れになったことや、学会員にマウスなど動物を用いる農学部系の研究者が増えたことから、人間を連想させる「不妊」を外すことにした.。 一部の患者から寄せられた「不妊という言葉のイメージが悪い」という声にも配慮する形にもなった。17日に熊本市で開かれる学会総会で、名称変更を盛り込んだ定款の改定が正式に承認される見通し(共同通信)
*ポルノ露骨さ不足で、業者に罰金 成人向けのポルノビデオを通信販売した業者が、客から「露骨さが足りない」と訴えられ、不当表示で罰金4000ポンド(約80万円)を科される事件が英国であった。問題のポルノは、映画・ビデオの一般向けやR指定、成人向けなどを決める同国映画委員会の指示で、一部が削除されていたにもかかわらず、業者はカタログやパッケージに削除された部分を表示して販売。2004年7月に3本のビデオを購入した女性の客が不当表示だとして訴えた(時事通信)
*ネット「闇の職安」、家出そそのかし売春

携帯電話のサイト「闇の職業安定所」で家出少女らを募り、少女を専門に扱う派遣型風俗店に引き渡して売春させていたなどとして、警視庁は2日、住所不定の無職竹内建太(21)、神奈川県南足柄市駒形新宿、風俗店従業員樋口哲也(23)の両容疑者を児童福祉法違反などの疑いで逮捕した、と発表した。風俗店には中学生や高校生が約30人働いていたとの情報があり、警視庁が調べている。少年育成課などの調べでは、竹内容疑者は携帯サイトに「18歳未満の風俗で働く女の子募集。家出したい子には住むところも用意する」などと書き込んで少女を募集。返信してきた四国地方の無職少女(15)に家出をそそのかして東京に誘い出し、4月に風俗店の従業員だった樋口容疑者に引き渡した疑い。樋口容疑者は翌5月、その少女に茨城県水海道市の男(30)=児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で起訴=を相手にわいせつな行為をさせた疑い(朝日新聞)


*ヒトゲノム、データベース完成 10.31

人のDNAには個人ごとにわずかな違いがあるが、DNAのどの場所に違いがあるかを多くの人で網羅的に調べたデータベースが日米英などの協力でできた。03年に完了したヒトゲノム(人の遺伝情報全体)解読に次ぐ医学・生物学の基盤情報になる。糖尿病やがん、心臓病などの病気に関連する遺伝子の効率的な発見や、遺伝的な違いに応じた薬の使い方をして副作用を防ぐ「オーダーメード医療」に役立つ。27日付の英科学誌ネイチャーで発表する。解析したのは理化学研究所遺伝子多型研究センター(中村祐輔センター長)、英サンガー研究所など。日米中とナイジェリアの住民計269人から同意を得て血液を提供してもらい、DNAを構成する部品(塩基)の中で、個人差があると報告された個所約110万個を分析した。個人差にはパターンがあり、全部を調べなくても、適切な代表個所を調べれば残りは予測可能になる。今回の解析で「代表」を25万個に絞り込んだ。25万個を調べれば、日本や中国では個人差の98.5%を判別できることが分かった。米国で94.1%。ナイジェリアでは70.1%だった。結果はインターネット経由で公開される。ヒトゲノム解読で約30億個の塩基から成る全体像が分かったが、病気の遺伝子を調べるために全体を解析するのは効率が悪い。今回判明した代表的な個人差を調べれば、病気になる人とならない人のDNAの差を早く容易に見つけ出すことができるという(朝日新聞)

*新たなガン抑制遺伝子発見 正常細胞にあるのにがん細胞でほとんど発現していない特定の遺伝子が、前立腺がんを選択的に細胞死(アポトーシス)に導くことを岡山大の公文裕巳教授(泌尿器病態学)、許南浩教授(細胞生物学)らのグループが30日までに突き止めた。同グループは、正常細胞ががん化するのを防ぐ新たながん抑制遺伝子としている。この遺伝子を使ったがん治療を進めたいという。この遺伝子は「REIC/Dkk3」。
 同グループは、培養したヒトの前立腺がん細胞でこの遺伝子の発現が抑制されREICタンパク質ができないことを確認。52人の前立腺がん患者の組織を調べ、全員のがん細胞でタンパク質が減り、うち悪性度の高い26人では完全になかった
(共同通信)
*NEDOが万能細胞で新薬開発着手

ヒトの受精卵から作った胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を新しい医薬品の評価に使う技術開発事業を、独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」が始める。ES細胞は長期間、無限に増殖でき、体のあらゆる組織や臓器に育つ可能性を持つ「万能細胞」とされ、この特性を生かす取り組みだ。京都大再生医科学研究所(中辻憲夫所長)やアステラス製薬などのグループに委託し、今年度中に着手する。新薬開発では、患者での臨床試験前に動物やヒトのがん細胞などで効果を確かめる。新しい事業では、これに代わってES細胞を使う。ES細胞を病気にかかった組織の細胞に分化させ、新薬の候補となる化合物を働かせれば病気への効果がよりわかる。ES細胞を肝臓や心臓の細胞にして使えば毒性や安全性の確認もできる。臨床試験でないとわからなかったことが、事前に把握できる可能性が高まると期待されている。臨床試験に入って新薬候補の危険性や効果の乏しさがわかると、巨額の開発費が無駄になる。そうしたリスクを回避できれば、薬価を下げることにもつながるという。京大再生研は03年に国内で唯一、受精卵からのES細胞株樹立に成功し、これを特定の臓器や組織に分化させる研究に取り組む機関へ分配してきた。新事業をES細胞利用のもう一つの柱にすることを狙い、アステラス製薬などとの協力で技術を製薬業界に提供する方法も検討する。当面はマウスやサルのES細胞で準備を進め、来年度以降、文部科学省にヒトES細胞の使用計画を申請する予定だ。現行指針ではこうした取り組みは認められている(朝日新聞)

*1000万年前の類人猿の下顎発見 京都大や島根大の研究チームが29日までに、約1000万年前とみられる新種の大型類人猿の化石をケニアで発見した。中務真人京都大理学研究科助教授(自然人類学)が11月4日に横浜市で開かれる日本人類学会で発表する。アフリカでは約1200万−約600万年前までは類人猿化石の発見例が少ない「空白期」。今回の化石は、ヒトやゴリラ、チンパンジーの共通の祖先を考える上で貴重な手掛かりになりそうだ。見つかったのは、雄の右下顎骨(かがくこつ)の破片と歯3個。ケニア中部のナカリ地域で火山性堆積(たいせき)層から発見された。人類やゴリラがいつ進化の過程で分かれたかは謎で、それを直接証明する化石は発見されていない。今回とほぼ同時期の類人猿化石としては1982年にケニアで京大グループが約950万年前の地層から上顎骨の破片を発見。サンブルピテクスと名付けている。島根大の沢田順弘教授(地球資源環境学)は「(同じ祖先から)どの時代にヒトとチンパンジーが分岐したのか、空白期を考える上で重要な情報だ」と話している(京都新聞)
*オキシトシンが攻撃性抑制か? 10.26 出産にかかわるホルモンの一種「オキシトシン」の働きを抑制すると、マウスの行動に様々な異常が起き、雄は攻撃性が高まることが、東北大を中心とする日米共同チームの実験で明らかになった。研究者らは、近く発行される米科学アカデミー紀要の電子版に発表、「遺伝子操作などでオキシトシンの働きを強めれば、ライオンのような猛獣でも性格を変えて、ペット動物に改良できるかも」と話している。西森克彦・農学研究科教授らが、雄マウス8匹の遺伝子を操作して、体内でオキシトシンを受け止める役割のたんぱく質(受容体)を破壊。各マウスのかごに別のマウスを入れたところ、相手を攻撃する回数が、正常な雄10匹に比べて最大で8倍も多かった。同じ遺伝子操作によって、雌は子マウスを巣に連れ帰るのを忘れたり、生後間もないマウスは母親を求める鳴き声の回数が少なくなったりと、行動に異常が見られた。研究チームは「オキシトシンは、哺乳(ほにゅう)動物が相互関係を築くのに重要な役割を果たしている」と分析している(読売新聞)
*乳がん手術後、2割に痛み 乳がん手術を受けた患者の約22%に、胸やわきの下、上腕が慢性的に痛む「乳房切除後疼痛(とうつう)症候群」(PMPS)が起きていることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。25日から名古屋市で開催される日本癌(がん)治療学会で発表する。
調査対象の患者は手術後平均8・8年たっていた。研究班の的場元弘・北里大講師(緩和ケア)によると、転移を防ぐためわきの下のリンパ節も切除する際に、神経を傷つけるのが原因らしい。PMPSの国内での大規模調査は初めてという。研究班は昨年、患者団体の会員に質問票を送り、がんの再発がなかった936人を分析したところ、PMPSは202人(22%)だった。PMPSではないが、つっぱりや圧迫などの不快感がある人も含めると659人(70%)に上り、このうち158人が「日常生活への影響がある」と回答。痛みなどについて主治医に相談したことがない人は218人、治療をあきらめている人は376人いた
(共同通信)
*乳がん関心はあるが未検診が半数 女性約2万人を対象に乳がんに関する意識調査を行った結果、8割強が関心を持つ一方で、実際に検診を受けている人が半数にも満たない実態が24日、分かった。調査したのはポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナント(東京都千代田区)など。インターネット上で9月下旬に行い、2万1106人から回答があった。乳がんへの関心は「非常にある」が30.0%、「ややある」が54.5%。年代が上になるつれ、両回答の割合が高まる傾向が見られた。これに対し、「30人に1人以上がかかる」「30〜64歳の女性がん患者の死亡原因トップ」という現状を「知っている」と回答したのは、ともに1割台。初期発見が可能とされる乳房専用のX線撮影検査「マンモグラフィー」の受診経験は15.6%にとどまり、乳がん検診自体を受けた経験のない人の割合は55.3%に上った(時事通信)
*習慣流産に受精卵診断を申請 10.23

染色体の異常が原因で流産を繰り返す「習慣流産」への受精卵診断の実施について、名古屋市立大産婦人科とセントマザー産婦人科医院(北九州市)が、日本産科婦人科学会にそれぞれ申請していたことが22日までにわかった。同学会は受精卵診断の対象を「重篤な遺伝性の疾患」に限定し、過去、習慣流産への実施を認めてこなかった。申請したのは、名市大が1組、セントマザーが2組の夫婦について。いずれも夫か妻かどちらかの染色体に、習慣流産につながる「均衡型相互転座」という異常があるため、流産する可能性の低い受精卵をあらかじめ診断で選び出して、子宮に戻すのが目的だ。セントマザーは99年と00年に続き、3回目の申請となる。同学会は現在、作業部会を設けて受精卵診断の対象とすべき病気について改めて検討しており、習慣流産についても見直しを進めている。12月の理事会までに報告がまとまる予定で、その結果を受けて、今回の申請について審議を始める。結論は来年4月までに出される見通しだ(朝日新聞)

*動物に育たないクローン胚を開発

クローン動物に育つことができないクローン胚(はい)をつくる技術を、米マサチューセッツ工科大のグループが開発した。クローン胚は再生医療への応用が期待される一方で、子宮に移植すればクローン人間の誕生にもつながることから、研究を進めることに慎重な意見も出ていた。成果は英科学誌ネイチャーの電子版で17日、発表される。クローン胚は、核を抜いた卵子に動物の体細胞を移植してつくる。これを仮親の子宮に戻すとクローン動物になる。内部の細胞を培養すると、あらゆる細胞に育つ能力をもつ胚性幹細胞(ES細胞)に育つ。グループはマウスの細胞を取り出し、子宮への着床にかかわる遺伝子が働かないようにして、卵子に移した。できた胚は仮親の子宮に戻しても着床しなかった。胚の内部の細胞を特殊な条件で育てるとES細胞ができた。普通のES細胞と同様の能力を持っていた。自分の細胞をもとにクローン胚をつくり、ES細胞を経て目的の細胞に育てれば、遺伝情報が自分と同じなので拒絶反応のない移植治療ができるとされる。ES細胞については、病気の人の皮膚細胞から、クローン技術を使ってES細胞をつくることに成功したと今春、韓国のグループが発表している。人の細胞でも今回と同じような操作をすれば、クローン人間が生まれる心配は少なくなる(朝日新聞)

*出会い系の相性診断に科学の力 出会い系サービス会社 Match.com の新しい出会い系サイト『 Chemistry.com 』は、より適切な人同士の出会い実現を目指したサービスだ。Chemistry.com は、良好な関係における不思議で不可欠の要素、いわゆる「相性」を定量化することによって、オンライン上の出会い経験に、言葉では言い表せない要素の付加を狙っている。Match.com は、ラトガース大学の人類学教授 Helen Fisher 氏の協力を得て、人格評価システム『Chemistry Profile』を開発した。同社は Chemistry Profile について、理解し合える可能性の高い相手を探すのに、今まで以上に役立つとしている。「自分自身の人格や、長い付き合いに何を望むのかといった事柄を、素早く、興味深く、なおかつ詳しく表わせる」というのが、Chemistry Profile の謳い文句だ。
Fisher 氏は MRI (磁気共鳴断層撮影) を使った脳機能計測により、恋愛状態で脳の活動がどのように変化するのかを調べた。同氏は人気書籍『Why We Love』(人はなぜ恋に落ちるのか? 恋と愛情と性欲の脳科学) を著した人物で、人々の恋愛の指向は、同氏が呼ぶところの脳の「恋愛機能野」の働きに、経験が重なることによって形作られると述べている。
この恋愛機能野なるものは、微妙かつ難解で、人によって異なる。
「独身の友達を誰かに紹介するのが難しく、インターネットの出会い系サービスでうまくいかないことが多いのは、この理由による。出会いを提供しようとする会社は、利用客の恋愛テンプレートの複雑さを理解していない」と Fisher 氏は記している。Chemistry.com の会員は、Chemistry Profile を作成するために、自分自身をどのように見ているか、相手に何を求めるかといったアンケートに答える。会員らは自分自身が「performer」「protector」「healer」「inventor」といったタイプのどれに当てはまるのか、そして予期せぬ状況を楽しめるのかどうか判断しなければならない。ほかにも、他人の部屋を窓から覗いたことがあるか、寝ている間に面白い考えを抱いたりするか、といった質問もある。また、書籍のタイトルを選択したり、写真の人物が心から笑っているかどうかなどにも答える。Chemistry.com の広報担当 Kristen Kelly 氏は、次のように語った。「われわれは脳科学に関する最新の研究成果を利用し、人々にとって、より魅力的なサービスを提供するという目標にまた1歩近づいた」(japan.internet.com)
*「メイド喫茶」風営法抵触のおそれ 「萌ブーム」を背景に東京・秋葉原を中心として全国に広がっている「メード喫茶」。福岡県警中央署が「風営法に抵触する恐れがある」として、福岡市内の2店を指導していたことが分かった。店側は福岡県公安委員会に風営法の営業許可を申請した。メード喫茶の接客に行き過ぎがないよう、警察が事前に忠告を示した形だ(毎日新聞)
*ストーカー殺人の主婦、二日前に警察相談 福岡市博多区の弁当工場で15日、パート従業員高野瀬市子さん(54)が刺殺された事件で、高野瀬さんが事件の2日前、殺人の現行犯で逮捕された土木作業員田中正良容疑者(51)に付きまとわれていると博多署に相談していたことが16日分かった。調べでは、高野瀬さんは7月まで田中容疑者と交際していたが、別れた後も同容疑者が自宅に入り込んでくるため8月に博多署に相談。10月12日にも再び自宅に侵入され、衣類を切られたため翌13日に相談した。同署は器物損壊容疑などでの届け出を求めていた。
 博多署は同日、ストーカー規制法違反の疑いもあるとみて田中容疑者を呼んで警告、「もう会いに行きません」とする内容の文書を提出させた(共同通信)
*性同一性障害のパパ、今度はママに 結婚し2人の息子をもうけた後、心と体の性が一致しない性同一性障害と診断され、性別適合手術を受けた岐阜県羽島市の男性会社員(44)が19日、岐阜家裁に男性から女性への戸籍の性別変更を再度、申し立てた。 会社員によると、離婚後、家庭では息子からお母さんと呼ばれ、自然に生活。「特別な目でみられるのではなく、母子家庭として普通に生活したい」として昨年12月、岐阜家裁に戸籍の性別変更を申し立てた。しかし性同一性障害特例法が「子供の福祉」などを理由に「子供がいないこと」を性別変更の条件の一つとしていることなどから今月5日、申し立ては却下された。審判内容を検討した会社員は「提出資料が複雑で膨大だったため、家事審判官が申し立て内容を正しく把握できなかった」と判断。焦点を絞り、再度申し立てをした(ZAKZAK)
*虫が藻を食べて植物に大変身 10.16

光合成のもとを食べて植物に大変身――。緑藻の仲間を細胞内に取り込み、光合成能力を獲得する不思議な単細胞生物を、筑波大の岡本典子さんと井上勲教授が和歌山県と福岡県の砂浜で見つけた。「ハテナ」と名付けた。ハテナは、植物の祖先が太古に歩んだ進化の道筋を、再現しているとも考えられている。速報が14日発行の米科学誌サイエンスに掲載された。ハテナは鞭毛(べんもう)虫の一種で、大きさは100分の3ミリ程度。無色のものは口のような捕食器官を持ち、特定の緑藻の仲間を細胞内に吸い込む。この藻は細胞内で共生、緑色になったハテナからは「口」が消え、光合成をするようになっているらしい。緑色のハテナは、緑色と無色の二つの細胞に分裂して増え、共生する藻は緑色細胞にだけ受け継がれていた。もう一方の無色細胞にはやがて捕食器官ができて、藻を取り込むようになる、と考えられている。一般の植物で光合成を担っている葉緑体は、太古には独立した藻類だったとの学説が有力。ハテナの発見は、植物の祖先が藻類を取り込んでいった様子をうかがわせるものだ。《堀口健雄・北海道大学大学院理学研究科助教授(系統分類学)の話》葉緑体を持たない生物が藻類を細胞内に共生させ、コンブやワカメなどに進化していく初期段階の現象と考えられ、かつてもこうした生物が存在した可能性がある。共生藻を取り込んだか否かで細胞構造を柔軟に変化させるこうした生物がいるとは、だれも予想しなかった。画期的な発見だ(朝日新聞)

*飲む発毛剤、発売に

万有製薬は11日、国内初となる男性用の飲む発毛薬「プロペシア」を11月後半にも全国の皮膚科などの医療機関を通して発売すると発表した。発毛剤は頭皮につけるタイプが一般的だが、内服剤の投入で発毛・育毛剤市場の競争が激化しそうだ。プロペシアは錠剤で1ミリグラム、0.2ミリグラムの2種類。脱毛症の原因物質とされる男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」(DHT)の生成を抑制する。臨床試験で1年間、1ミリグラムの錠剤を投与したところ、58%の被験者で改善効果が認められた。ただ、4%の被験者に性機能障害などの副作用が出たという。プロペシアを購入するには医師の処方箋(しょほうせん)が必要で、保険給付の対象外となる。メーカー参考価格はいずれも1錠あたり250円(税抜き)。1日1回、内服する。プロペシアは万有製薬の親会社の米メルクが開発し、世界60カ国以上で販売されている(朝日新聞)

*体力9歳男児、20年前の女児並み

小学校3、4年生にあたる9歳男児の走ったり跳んだりする能力は、約20年前の女子レベルまで落ちていることが文部科学省が9日公表した04年度体力・運動能力調査でわかった。子どもの体力・運動能力のピークだった85年度と04年度を9歳児で比べると、「50メートル走」では、男子が9.40秒(85年度)から9.69秒(04年度)になった。85年度の女子の9.74秒と大差がなかった。04年度の女子は9.93秒。「立ち幅跳び」では、男子は158.53センチ(85年度)が146.24センチ(04年度)に。女子は147.30センチが137.57センチに落ちた。青少年(6〜19歳)全体でも、体力・運動能力はここ10年ほど低い水準にとどまったままだ。過去10年間の推移から、「走・跳・投」の各能力の傾向を分析したところ、小学生は男女とも下降か横ばい、中学生の男女はほぼ横ばい、高校生女子でやや低下傾向、男子はほぼ横ばいという結果で、向上を示す傾向は出なかった。成年(20〜64歳)についてここ10年ほどの傾向をみると、「急歩(全身持久力)」で低下傾向が出ているが、「握力(筋力)」「反復横跳び(敏捷(びんしょう)性)」が緩やかに向上している。調査にあたった青木純一郎・順天堂大副学長(運動生理学)は「身体活動を必要としない生活環境になっている。成人は体を動かそうという意識が高まってきたが、子どもがそうなっていない。親子が一緒に運動できる環境整備が必要だ」と話す(朝日新聞)

*祖父の性的虐待でPTSD、6000万の賠償命令 同居していた祖父(80)から8年間にわたって性的虐待を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったなどとして、東京都内の女性(24)が祖父に対し、約1億2500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。安浪亮介裁判長は「虐待行為が原因でPTSDとなり、働けなくなった」と認定、就労できなかったことによる逸失利益を含め、約5920万円の支払いを命じた。性的虐待によるPTSDを巡る訴訟で、逸失利益が認められたのは珍しい。判決によると、女性は小学校6年生だった1992年冬ごろから、多い時で週に数回、祖父に性交を強いられたり、性器を触られたりする虐待を受けた。祖父から「誰かに話したらお前を殺して、僕も死ぬ」などと脅されたため、誰にも相談出来なかったという。女性は、高校2年のころから体調を崩し、祖父と別居後の2003年、PTSDと診断された。現在も、人ごみの中でパニック症状を起こすなど、仕事が出来ない状態だという。祖父は性的虐待の事実を否定し、全面的に争っていたが、安浪裁判長は虐待があったと認めた上で、20年間分の逸失利益を認めた。(読売新聞)
*子宮頸がんに有効のワクチン開発 10.08 米医薬品大手メルクは6日、子宮頸(けい)がんを起こす特定のウイルス感染を防ぐため同社が開発中のワクチンに、欧米やアジアでの大規模な臨床試験の結果、非常に高い効果がみられたと発表した。ワクチンでがんが防げれば、特に発展途上国で患者を大幅に減らせるため画期的な成果となる。日本でも若い世代の子宮頸がんが増加傾向にあり、無防備な性交渉によるウイルス拡大も一因と疑われているため、関心を集めそうだ。このワクチンは、子宮頸がんの原因の約70%を占める16型と18型をはじめ、計4種のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防が目的。臨床試験は米大陸と欧州、シンガポールなど計13カ国で16−26歳の女性約1万2000人を対象に実施した(共同通信)
*雄マウスの涙にフェロモン マウスの涙に、雌に「自分は雄だ」と知らせるフェロモンが含まれていることを、東京大の東原和成助教授(生命科学)らの研究グループが突き止め、6日付の英科学誌ネイチャーに発表した。フェロモンは、異性を引きつけるチョウなどの「性フェロモン」や、仲間に攻撃を促すハチの「警報フェロモン」など、空気中を漂って遠くにいる仲間に情報を伝える揮発性の化学物質として知られている。しかし、今回見つかったのはタンパク質の一種で揮発性はなく、雌は雄の顔に鼻をくっつけて涙に含まれているフェロモンを受け取り、性別を確認していた。涙からフェロモンが発見されたのは初めてという(共同通信)
*エイズ薬開発に貢献、ノーベル化学賞 スウェーデン王立科学アカデミーは5日、2005年のノーベル化学賞をフランス石油研究所のイブ・ショバン名誉研究員(74)、米カリフォルニア工科大のロバート・グラブズ教授(63)、米マサチューセッツ工科大のリチャード・シュロック教授(60)の3人に授与すると発表した。「有機合成におけるメタセシス(複分解)反応を用いた手法の開発」に貢献したことが授賞理由とされる。同アカデミーは3人によるメタセシス反応の研究について、効率的で環境に優しい化学の発展につながる上、エイズやがんなどさまざまな病気の治療薬、薬剤の開発に大きく寄与すると評価した(時事通信)
*マンモグラフィー撮影読診医4割不足 10.04

乳がん早期発見のため、厚生労働省の補助金でマンモグラフィー(乳房X線撮影)の購入を検討している都道府県の4割近くが、読影医や撮影技師不足が購入の妨げになっていると考えていることが、NPO法人乳房健康研究会(理事長=霞富士雄・癌(がん)研有明病院乳腺科部長)のアンケートでわかった。厚労省は07年度までに、検診の受診率を現在の13%から50%以上に上げることを目標としているが、人材育成の必要性が改めて浮き彫りとなった。11月に京都市で開催する日本乳癌検診学会で発表される。調査は今年7月、47都道府県を対象に郵送で実施。43都道府県が回答した。マンモグラフィー導入の「阻害要因」を複数回答で答えてもらったところ、フィルムを診断する読影医や撮影技師の不足を挙げた自治体は16(約37%)あった。一方で、人材を養成する研修の開催予定が「ない」と回答した自治体は17(約40%)。「ある」と回答した自治体でも、開催予定は読影医で年平均1.43回、撮影技師で同1.28回にとどまった。マンモグラフィーの国内の設置台数は約2800台。厚労省は緊急整備事業として今年度、約39億円の予算を組んで購入費用の半額を補助しており、来年度までに計500台を整備する予定だ。40歳以上で職場検診などがなく、住民検診の対象となる女性は年間1050万人に上るが、厚労省が指針で望ましいとする技量を持った読影医は約5300人、撮影技師は約4400人しかいない。受診率が上がれば、さらに人材不足の問題が深刻となる。同研究会の福田護・聖マリアンナ医科大教授は「いまの3倍の人員は必要だろう」と話す(朝日新聞)

*凍結精子で出産、認知認めず

夫の死後、凍結保存していた精子を使って体外受精で妊娠した女性が、出産した女児を夫の子と認知するよう求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。奥田隆文裁判長は「死者の精子を使った生殖補助医療を受け入れる社会的な共通認識が現段階であるとは言えない」などとして法律上の親子関係を認めず、女性の請求を棄却した。関東地方に住む女性は内縁の夫が病気だったため01年に夫の精子を採取し、凍結保存。体外受精を始めた。夫は02年、30代で死亡。その後、4回目の体外受精が成功。03年に出産した。女性は(1)夫は生前、体外受精による子どもの誕生を望んでいた。死後も体外受精に同意していたといえる(2)認知により子どもが出生を知る権利が保護され、相続権が生じるなど実益がある(3)認知されないと戸籍の父の欄が空白のままになり、就職や結婚などの際に不利益を被る可能性がある――と主張していた。判決は(1)4回目の体外受精の時点では夫は死んでいる以上、同意があったとは言えない(2)夫の死亡時点で胎児でもなかった子どもに相続権が生じる余地はない(3)女性が主張する不利益の多くは事実上のもの――と指摘した。「生存している男女の性行為による自然な生殖との乖離(かいり)が著しく、死後生殖を受け入れる社会的な認識ができているとまで認められない」という事情も重視した。奥田裁判長は「女児が健やかに成長していくために国や社会として可能な限りの配慮をしていく必要がある。急速に進展する生殖補助医療について早急な法整備が求められる」と付け加えた。同様の問題での司法判断は3例目。松山地裁が03年、原告の女性の訴えを退けたのに対し、高松高裁が04年、女性の訴えを認める逆転判決を言い渡した。この訴訟は現在上告中で、最高裁の判断が注目されている(朝日新聞)

*子宮筋腫新技術に混合診療導入

中央社会保険医療協議会(中医協)は28日、子宮腺筋症の手術で子宮を温存できる先進技術を、保険診療と保険外診療の併用を認める混合診療の対象として認めることを了承した。混合診療が新たに認められる「先進医療技術」分野の第1号で、10月から適用される見通し。この手術はこれまで患者の全額自己負担だったが、適用後は、例えば16日間入院の標準的なケースでは、入院費など39万5000円が医療保険でまかなわれ、先進医療分の自己負担は18万6000円となる。子宮腺筋症は、子宮内膜の組織が子宮の筋層に発生し、強い月経痛などを引き起こす。従来の治療法では子宮を摘出するしかなかったが、今回認めた手術法は、高周波の切除器を使い、腺筋症組織だけを切り取れる。10月以降は、この手術を3年以上経験している医師がいることや、医療安全のための態勢が整備されているなど、必要な条件を満たした医療機関が国に届け出れば実施できる。中医協は同日、診療報酬の改定結果を検証する部会を新たに設置することも決めた。中医協改革の有識者会議が、報酬改定の透明化をねらって提言した対策の一つだ(朝日新聞)

*遺伝子の個人差、90分で分析 09.28

1滴の血液から約90分で遺伝子の個人差を解析できる装置を、理化学研究所と島津製作所、凸版印刷が共同開発し、27日発表した。来秋の製品化を目指す。遺伝子の個人差は薬の効きやすさや副作用に関係しており、解析が簡便になることで、病院での薬の選択に生かすなど「オーダーメード医療」の実現に貢献するという。調べたい人の血液を入れると、含まれるDNAを自動処理し、約90分で検査結果を出すことができる。従来は血液からDNAを抽出する操作などに手間がかかり、解析に半日以上かかっていた。装置は事務机の上に載る大きさで、病院が導入しやすいよう500万円以下での販売を目指す。ある種の抗生物質で難聴が引き起こされる個人差や、血液を固まりにくくする薬の効きやすさを左右する個人差の検出で、装置の性能を確認した。何を検査するかは1人ごとに取り換えて使う検査チップ(1個数千円程度)次第だが、1回の検査で最大24カ所の遺伝子の違いを調べられる。米国では、抗がん剤の効きやすさの予測で、こうした検査が実用化されている。どのような遺伝子を対象にした検査チップを販売するかは、来秋までの研究動向をみて決めるという(朝日新聞)

*卵巣凍結保存を承認 白血病や悪性リンパ腫などで抗がん剤などの治療を受ける前に卵巣の一部を摘出、凍結保存することについて、岡山大医歯薬学総合研究科倫理委員会は27日、中塚幹也講師(産婦人科)らの計画を承認した。中塚講師によると、承認は国内初ではないかという。抗がん剤などの治療は卵巣の機能を低下させるなどして不妊になる恐れがある。今回承認されたのは保存についてだけだが、将来は治療後に妊娠を試みる方法を考えたいとしている。現在特定の希望者はいないが、すぐに凍結保存はできる状態だという。計画では、2つある卵巣の片方の一部を切り取り、マイナス約200度で冷凍保存する。卵子を凍結保存する方法もあり出産例もあるが、技術的に難しく、卵巣保存の方がリスクが低いのではないかという(共同通信)
*クラインフェルター症候群、不妊に光明 09.22 染色体異常による男性不妊症「クラインフェルター症候群」の患者は多くの場合、無精子症となるが、35歳未満であれば、8割近くの人で精巣内から精子を取り出せることが、帝京大医学部の岡田弘・助教授(泌尿器科)の研究で明らかになった。晩婚化が進むなか、「病気が疑われる人は早めに受診し、精子の凍結保存などの対策が必要」と岡田助教授は訴えている。成果は米生殖医療学会誌11月号に掲載される。クラインフェルター症候群は、男性の600〜1000人に1人の割合で見つかるとされる。結婚後に初めて病気に気付くケースが多い。一般男性の精巣は約14ccだが、同症候群の患者の精巣は2〜3ccしかない。岡田助教授は同症候群の男性51人に対し、精巣内から精細管を取り出し、その中にいるわずかな数の精子を見つける手術を行った。その結果、25〜34歳では77%と高い確率で精子を得られたが、35〜44歳では24%しか採れなかった。加齢によって精子形成が悪くなる理由は不明という。精子が採れれば、顕微鏡を使って卵子の中に精子1匹を注入する「顕微授精」という方法で体外受精させることができる。岡田助教授は「若いうちであれば、精子が採れる可能性が高いので、あきらめず早めに泌尿器科で受診してほしい」と話している精子が採れれば、顕微鏡を使って卵子の中に精子1匹を注入する「顕微授精」という方法で体外受精させることができる。岡田助教授は「若いうちであれば、精子が採れる可能性が高いので、あきらめず早めに泌尿器科で受診してほしい」と話している(読売新聞)
*精子の酵素が不妊の原因のひとつ 自然な受精の際、精子が卵子を包む透明帯を突破するために使われるたんぱく質分解酵素が入った先端部「先体」が、不妊治療の顕微授精で卵子内に入ると、受精卵の成長に悪影響を与える恐れがあることを、米ハワイ大医学部の柳町隆造教授らが19日までに実験で確認した。研究成果は米科学アカデミー紀要の電子版に発表される(時事通信)
*女性ホルモンが肺がんに関与? 09.16 初経が早かったり閉経が遅かったりして女性ホルモンにさらされる期間が長い人は、肺がんの発生率が2・2−2・5倍と高いことが、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の大規模疫学研究で分かった。札幌市で開かれている日本癌(がん)学会で15日発表する。
 乳がんも女性ホルモンと関連があることが分かっているが、肺がんとの関連を指摘する疫学研究は国内では初めて。卵巣などを摘出しホルモン剤を服用している女性の肺がん発生率も2・4倍と判明、津金部長は「メカニズムの解明とともに、投与量が多すぎないかの研究を進めるべきだ」と話している
(共同通信)
*今や生まれる子供の65人に1人は体外受精 新生児65人のうち1人は体外受精児――。精子と卵子を体外で受精させて子宮へ戻す「体外受精」によって国内で生まれた子供が、2003年の1年間で過去最高の1万7400人に達したことが、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)の調査で13日明らかになった。調査したのは、同学会に体外受精の実施登録施設として届け出ている590施設。それによると、03年の体外受精による出生児数は1万7400人と、前年より2177人増加した。全出生数(112万3610人)に占める割合は1・5%で、この年に生まれた65人の赤ちゃんのうち1人が体外受精児になる計算だ。世界初の体外受精児は1978年に英国で誕生し、国内では83年に東北大が成功した。以来、体外受精は年々増え続け、同学会が調査を始めた86年以来の累積出生数は計11万7589人となった。調査を担当した久保春海・東邦大教授(産婦人科)は、「治療1回あたりの妊娠率はそれほど向上しておらず、不妊患者の数が増えた結果だろう。安全に妊娠・出産できる年齢限界は35歳以下ということを認識してほしい」と述べ、体外受精件数を引き上げている高齢出産の増加に警鐘を鳴らしている(読売新聞)
*喫煙で5歳肌は老化する たばこを吸う女性は吸わない女性に比べ、5歳以上も肌が“老化”している――ポーラ化粧品本舗(東京都品川区)が、20〜70代の約30万人の女性の肌状態と喫煙の関係を調べ、こんな結果が出た。喫煙が肌に及ぼす影響をこれほど大規模に調べた例は、世界でも少ない。喫煙は美肌を目指す人にとって、やはり大敵のようだ。昨年6月〜今年5月、全国の訪問販売先や店頭などで、同意を得て皮膚表面の角質層を採取。同時に喫煙状況も尋ねた。喫煙者は全体の約23%で、20代が最も多かった。 同社によると、しみ、くすみなどの原因となる細胞中のメラニン量は加齢とともに増えるが、状態の良い肌は量が少なく、分布も均一。逆に色むらが目立ちくすんで見える肌はメラニン量が多いうえ、細胞によるバラつきも大きいという。同社は採取した細胞中のメラニンを染色して300倍に拡大し、含有量を3段階で数値化。この結果を、喫煙者と非喫煙者に分けて年齢別に集計したところ、明確な差異が表れた。年齢別の平均メラニン量は、吸い始めて間もない20歳では大差ないが、以後は全年齢で喫煙者の方が1〜2割程度多く、ほぼ5歳上の非喫煙者のメラニン量に相当。吸わない人より「肌年齢」が5歳老けている状態だった。更に、紫外線によく当たる生活をしているか否か、という条件を加えて分析すると「よく当たりたばこも吸う」人と「あまり当たらずたばこも吸わない」人の肌年齢の差は10歳以上に広がった。原因について同社は「メラニンの生成や着色を抑えるビタミンCが、喫煙によって破壊されるためと考えられる」と分析。「肌の潤いを示す保水力も喫煙者の方が少なかった。一般に『喫煙は肌に悪い』と言われてきたことを、データで立証できたのではないか。肌の衰えが気になる喫煙者は、まずはたばこを控えた方が良い」と話している(毎日新聞)
*事情聴取中の巡査部長がワイセツ行為

取り調べ中の女性にわいせつな行為をしたとして、滋賀県警は16日、県警高島署刑事課の巡査部長、今村円容疑者(34)=同県高島市今津町今津=を特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕した。容疑を認めているという。調べでは、今村容疑者は8月19日、大津署の取調室で、窃盗容疑で逮捕された30代の女性=同罪などで起訴=にわいせつな行為をした疑い。女性は「ほかの日にも体を触られたことがある」と話しているという。女性が9月7日、同署の留置管理係に被害を伝え、発覚した。県警は取り調べは原則2人でするよう指示しているが、今村容疑者は1人で女性を調べていたという。県警の村井新・警務部長は「警察官として言語道断の行為で、深くおわび申し上げます。不祥事を重く受け止め、信頼回復を図るため、全職員が再発防止に取り組んでいく」とコメントした(朝日新聞)

*教師が職場で出会い系利用、解雇は有効

勤め先の専門学校のパソコンで出会い系サイトに登録し、大量のメールをやりとりしていたとして懲戒解雇された元教員の男性(55)が解雇無効を訴えていた訴訟で、福岡高裁は14日、解雇は無効とした一審・福岡地裁久留米支部の判決を取り消し、元教員の訴えを棄却した。石井宏治裁判長は「メールをする労力を仕事に充てていれば一層の効果が得られたはずで、職務専念義務違反に当たる」と指摘した。判決によると、元教員は職場のパソコンで、複数の出会い系サイトに登録。パソコンには98年9月から03年9月までに受信メール約1650件、送信メール1330件の記録があった。このうち送受信とも800件以上が出会い系サイトや女性とのやりとりで、ほとんどが勤務時間内の送受信だった。元教員は03年9月に解雇された。石井裁判長は「勤務中に職場のパソコンで膨大な私用メールをやりとりすることが許されるはずがない」とした。地裁久留米支部は昨年12月、「不適切な行為だが、授業などをおろそかにしたわけではない」として解雇は無効とした(朝日新聞)

*患者騙して全裸撮影の医師に実刑

東京都立墨東病院(墨田区)で、女性患者を全裸にしてデジタルカメラで撮影したとして、準強制わいせつの罪に問われた同病院の元心臓血管外科部長、田辺貞雄被告(52)=懲戒免職=に対し、東京地裁は13日、懲役3年10カ月(求刑懲役6年)の実刑判決を言い渡した。渡辺康裁判官は「医師の立場を悪用し、患者の信頼や治療を受けている者の心理的弱みにつけこんで繰り返された、卑劣で悪質な犯行だ」と述べた。被告の弁護側は即日控訴した。判決によると、田辺被告は00年4月から04年7月までの5回にわたり、通院中の計5人の女性に対し、全裸になる必要がないのにすべて服を脱がせ、「記録に残すから、脱いでください」などと言って、デジタルカメラで撮影した。女性患者らは、超音波検査をした個所を写真撮影する必要があり、そのためには全裸にならざるを得ないと信じ込まされた(朝日新聞)

*満腹はガン招く? 09.09 満腹するまで食べる習慣のある男性は、がん化を抑える遺伝子の働きが弱まっている率が高く、逆に、キャベツやブロッコリーなどを多く食べたり緑茶を多く飲む男性ではこの率が低いことが、東京医科歯科大(東京都文京区)の湯浅保仁教授(分子腫瘍(しゅよう)医学)らの研究で分かった。14日から札幌市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。がんに関連した遺伝子の働きが食生活で変化することが分かったのは初めてという。湯浅教授らは、同大病院などで手術を受けた男性の胃がん患者58人にアンケートし、がんになる以前の食事の量や内容などを聞いた。一方で患者ごとに、手術で切り取ったがん細胞を多数分析し、がん化を抑えると考えられている遺伝子「CDX2」の働きを調べた。「満腹するまで食べていた」と答えた22人のうち10人(45%)では、細胞の一部でこの遺伝子が「メチル化」と呼ばれる化学変化を起こし、働かなくなっていた。これに対し「腹八分」または「意識的に食事の量を少なくしていた」とした35人では、メチル化が起きていたのは10人(29%)にとどまった。無回答が1人いた。ほうじ茶を含めた緑茶を飲む量では、日に6杯以下と答えた43人のうち17人(40%)にメチル化がみられた。7杯以上飲んでいた14人では2人(14%)と少なかった。無回答は1人。またキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーのどれかを食べる回数でみると、週に2回以下とした32人中14人(44%)にメチル化があったのに対し、3回以上と答えた26人中では6人(23%)だった。メチル化は老化とともに増えるが、解消されて元に戻ることもある。緑茶が含む「カテキン」を細胞に注入すると、遺伝子の一部でメチル化が解消されたとの実験結果もある。ただ、多量の食事でメチル化が増える仕組みや、キャベツなどで減る仕組みは不明だ。湯浅教授は「研究が進めば、食生活の改善でメチル化を抑えたり、がん抑制遺伝子の働きを強めてがんを予防したりできるのではないか」と話している(毎日新聞)
*ES細胞を培養続けると異常細胞(がん細胞)発生

様々な組織の細胞になりうるヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は、培養を続けるうちにがん細胞で起こるような異常が生じることを米ジョンズホプキンス大などのグループが見つけた。米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版で5日発表する。ES細胞は再生医療への応用が期待されるが、長く培養すると臨床応用には使えなくなるものがあるだろうという。グループは、ヒトのES細胞9株について、増えると別容器に分けて培養する操作を22〜175回繰り返し、元の状態と比較した。9株中8株で、がん化や老化に伴って起こる異常が増えていた。具体的には、メチル基という物質がDNAにくっつく変化や、DNAの特定領域がコピーしたように増える変化、ミトコンドリアDNAの変異などが確認された。こうした異常で、遺伝子が働くかどうかのスイッチ制御が異常になったり、がん遺伝子など特定の遺伝子が増えたりする可能性がある。これまで、ES細胞は長期間培養を続けても安定しているとされてきた。長期間培養する場合には、高い感度の検査を定期的に行う必要があるとグループは指摘する。米政府は01年8月以前につくられたES細胞株による研究に限り政府資金投入を認めているが、こうした方針では限界が生じる可能性を示した。日本は条件付きでES細胞の新規作製を認めている(朝日新聞)

*クローン猫同士の繁殖成功 30日付の英紙デーリー・テレグラフなどによると、米国のオーデュボン絶滅危惧(きぐ)種研究センターはこのほど、父親も母親もクローンであるアフリカヤマネコから計8匹の赤ちゃんが生まれ、無事成長していると発表した。同研究センターのドレッサー教授によると、哺乳(ほにゅう)類では牛や羊のクローン同士による繁殖例はあるが、野生動物のクローン同士で成功したのは初めて。教授は「クローン技術は絶滅危惧種の保存に向け、大きな可能性がある」と話している。8匹の赤ちゃんの父親は同じだが、5匹と3匹がそれぞれ別の母親から生まれた。これに対し、自然保護団体などは「動物が絶滅の危機にひんしているのは生息地の減少のためで、生息地の確保が先決。同じ遺伝特質を持った個体だけが増えることに価値があるだろうか」と疑問を呈している(共同通信)
*逆子死亡出産、帝王切開せず。原告勝訴

94年、出産直後の長男を亡くした両親が「逆子だったので帝王切開を強く望んだのに医師に拒まれ、結果として難産となって死亡した」として医師らに約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が8日あった。最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は「医師は自然分娩(ぶんべん)を選ぶ理由やそれに伴う危険性を両親に理解させ、受け入れるかどうか判断する機会を与える義務があった」と述べ、両親の主張を全面的に退けた二審・東京高裁判決を破棄して審理を同高裁に差し戻した。この裁判で、両親は、医師に「自己決定権」を侵害されたと主張。最高裁の判断が注目されたが、判決は自己決定権という言葉は使わず、医師の説明義務違反を指摘するにとどまった。第一小法廷は今回のケースについて、医師が(1)分娩方法の重要な判断要素となる胎児の体重や体の向きなどを説明しなかったこと(2)「いつでも帝王切開に移れる」と説明したこと――を重視。「十分な説明をしていない」と判断した。
父親(44)は判決後、「医師の不手際が認められたことはうれしいが、もう一歩踏み込んで判断して欲しかった」と述べた。長男を亡くしてから11年4カ月。「医療を受ける者の自己決定権が医師の裁量より優先されるべきだ」と訴えてきた。「それが明確に示されてこそ、同じ悲劇を繰り返さない抑止力になる」と考えたからだ。「『説明が不十分でした』で済まされたら、死んだ息子は浮かばれない」。差し戻し審でも「医療は受ける者のためにある」と訴えていくという(朝日新聞)

*元ゼネコン課長代理、連続強盗強姦に無期判決 多数の女性を乱暴し、現金を奪うなどしたとして、強盗強姦(ごうかん)などの罪に問われた元大手総合建設会社(ゼネコン)社員、桑田秀延被告(37)に対し、大阪地裁は5日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。川合昌幸裁判長は「同種事犯の中でも突出して、他に類例を見出し難い悪質で重大な事件。法が認める最も重い無期刑で処するほかはない」と述べた。判決によると、桑田被告は02〜04年、大阪市内を中心にワンルームマンションなどの若い女性宅に侵入。暴力団組員を装って「騒いだら殺すぞ」と脅すなどし、計24人に性的暴行を加えて現金を奪うなどした。検察側は論告で、起訴されなかったものを含めると、桑田被告は計150件以上の犯行を認めていることを明らかにし、無期懲役を求刑していた。川合裁判長は「被害女性は人格の尊厳をじゅうりんされ、心にぬぐい難い大きな傷を負い、後遺症は深刻。被告にしゅん烈な処罰感情を抱くのは当然だ」と指摘した(毎日新聞)
*寿命延ばすたんぱく質発見か 08.30

寿命を延ばす作用があるらしいたんぱく質を、黒尾誠・米テキサス大助教授と東京大、大阪大などのチームがマウス実験で見つけた。こうした物質が、哺乳(ほにゅう)類で見つかったのは初めて。このたんぱく質は人間でもつくられており、将来、薬でこのたんぱく質を増やすなどして、寿命が延ばせるようになるかも知れない。米科学誌サイエンスの電子版に26日、論文が掲載される。この物質は、黒尾さんらが8年前に見つけた遺伝子「クロトー」がつくるたんぱく質。遺伝子操作でクロトーたんぱく質が通常のマウスの2〜2.5倍できるマウスを作ったところ、通常のマウスの寿命が平均約700日なのに対して、平均で2〜3割長生きし、3歳に達したものも出た。このたんぱく質は脳や腎臓でつくられる。一部が血液で体中に運ばれ、インスリンの作用を抑制するように働いていた。通常のマウスにこのたんぱく質を注射すると、血液中の糖を体の組織に取り込むインスリンの働きを打ち消し、血糖値が上がった。インスリンの働きを抑えすぎると糖尿病になるが、適度に抑えることで寿命を延ばすとチームは見ている。クロトー遺伝子が壊れたマウスは、動脈硬化や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、肺気腫などで短命なことが知られていた。黒尾さんはこのたんぱく質がホルモンとして老化を制御するとしており、「人の老化や生活習慣病の治療・診断に応用できる可能性がある」という。これまで、哺乳類の寿命を延ばす方法としては唯一、体に取り込むカロリーの制限(食事制限)が有効なことが、多くの動物実験で確かめられており、インスリンとのかかわりを指摘する説もある(朝日新聞)

*幹細胞研究、ボランティア卵子提供容認か ヒトクローン胚(はい)を作成し、再生医療の基礎研究に利用する際の行政指針案づくりを行っている文部科学省の作業部会は29日、材料となる卵子の入手方法について審議した。部会後、豊島久真男主査(理化学研究所顧問)は、世界で初めてヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作った韓国ソウル大の研究報告を踏まえ、健康で若いボランティア女性からの卵子の無償採取を条件付きで容認することを検討する姿勢を示した(時事通信)
*概算要求、少子化対策28%増 厚生労働省は25日、06年度予算の概算要求をまとめた。一般会計総額は今年度当初予算比7237億円(3.5%)増の21兆5415億円。8000億円の自然増が見込まれる社会保障関係費は伸びを2200億円圧縮し、3%増の5798億円とした。高齢者対策費の伸びを12.3%に抑え1306億円とする一方、少子化対策関連を28.3%増の1006億円と手厚くしたのが特徴。主な事業として、がん対策に202億円を計上。がん医療専門スタッフ育成費(2.7億円)などが新規で、国立がんセンターでの研修終了者を登録するデータバンクを整備し、医療機関に提供する。アスベスト対策は今年度の4.9億円から16億円へと増やした。少子化対策では、保育所整備費として60.5%増の268億円を要求。育児休業取得や短時間勤務制度適用を初めて認めた中小企業に、5年間限定で毎年100万円程度の助成金を出す事業に56億円を求めた。体外受精などを対象に年間10万円を2年間援助している不妊治療支援の期間を「通算5年」に延長する(毎日新聞)
*米・同性夫婦の親権 米カリフォルニア州最高裁は22日、ゲイやレズビアンのカップルが人工授精で子どもを持った場合、子どもに関して異性間の夫婦の場合と同様の親権を認める初めての判決を下した。レズビアンのカップルの場合、卵子を提供した女性は、子どもと血縁関係ができるが、そのパートナーは子どもと血縁関係がないため、これまで親権が制限されることが多かった。今回の判決は、子どもと血縁関係のない同性のパートナーにも、生物学的な親と同様の権利と義務が発生すると判断する内容で、全米で最も踏み込んだ判例となる。同最高裁はこの日、レズビアンのカップルの親権をめぐる訴訟3件に対して判決を下した。判決は、▽カップルが関係を解消した後も、人工授精時に同せいしていた場合は、子どもと血縁関係のない女性側にも養育義務がある▽女性パートナーに自分の卵子を提供して子どもを産んでもらった女性にも親権を認める――などと結論付けた。こうした判決に対し、保守系団体は「2人の父、2人の母を認める決定で、男女の夫婦で構成された家族の価値を壊すもの」と反発している(毎日新聞)
*中国、初のセクハラ法案可決

新華社電などによると、中国全国人民代表大会(国会)常務委員会は28日、女性に対する「セクハラ禁止」を中国で初めて明記した「女性権益保障法」改正案を可決した。セクハラ被害が後を絶たない現状に対応する措置。今年12月1日から施行される。同改正案は、セクハラ被害者が関係機関に訴え出る権利も明記。女性への家庭内暴力や、受験の合格者選考時の性別による差別などの禁止も明文化した。中国では、上下関係が明確で、上司からセクハラ被害を受けても泣き寝入りするケースが多数あると指摘されている。しかし近年、女性の権利意識が高まり、一昨年にはセクハラ裁判で初の勝訴判決が出たこともあって、セクハラ問題への社会的関心が強まっている(読売新聞)

*受精卵なしのES細胞作製 08.25

さまざまな組織になりうる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と、皮膚細胞を融合させることで、ES細胞と同じ能力を持つ新しい細胞をつくることに、米ハーバード大の研究チームが成功した。この方法で患者自身の細胞を使えば、新たに受精卵を壊さなくても、拒絶反応を起こさないような臓器や組織を再生し、移植できるようになる可能性がある。26日付の米科学誌サイエンスに論文が掲載される予定だったが、米メディアの注目を集めたため、同誌は急きょ論文をメディアに公表した。研究チームは、ES細胞と皮膚細胞を融合させて細胞をつくり、神経や筋肉、消化管などの細胞に分化することを確認した。この融合細胞は皮膚細胞とES細胞の両方の遺伝情報を持つ。ES細胞側の遺伝情報を取り除くことができれば、拒絶反応を起こさないようにできる可能性があり、患者への移植に利用できるかもしれないと研究チームは期待している。通常のES細胞は、受精卵を壊してつくる必要があり、患者に移植できるようにするためには、クローン胚を使う必要があった。このクローン胚を子宮に移植すればクローン人間につながることから、倫理面での課題があり、欧米を中心に慎重論がある。韓国では今年、患者の皮膚の細胞を使って、ES細胞をつくることに成功している(朝日新聞)

*エロ牧師罪状認める 京都府八幡市の宗教法人「聖神中央教会」の少女信者が性的暴行を受けた事件で、婦女暴行罪などに問われた元代表牧師、金保被告(62)の第2回公判が23日、京都地裁(上垣猛裁判長)で開かれた。被告は罪状認否で、「いずれの事実についても争うことはいたしません」と述べ、起訴事実を認めた。 金被告は6月21日に開かれた初公判で、捜査が継続していたために罪状認否を留保した。これまでに被害者7人に対する婦女暴行、準婦女暴行など計22件の罪で起訴され、捜査は終結した。被告は捜査段階の調べに、「覚えていないが信者が言うならそうだろう」と話し、あいまいな供述を繰り返していた。起訴状によると、金被告は平成13年3月中旬から16年9月までの間、教会内の牧師室などで、13歳未満の少女や中学生らに対し「逆らえば地獄に落ちる」と言い、繰り返し乱暴したとされる(ZAKZAK)
*ダイナシティー企業ぐるみの不祥事連発08.16 女性従業員に交際を迫り、無理やりキスをしたなどとして、ジャスダック上場の不動産販売「ダイナシティ」(東京都港区)の子会社「ダイナシティリゾート」(同)前社長今井義徳容疑者(38)=目黒区中根=が、強制わいせつ容疑で警視庁久松署に逮捕されていたことが12日、分かった。調べに対し、「同意の上だった」などと容疑を否認しているという。ダイナシティでは6月、中山諭社長(当時)が覚せい剤所持の現行犯で逮捕されている(時事通信)
*前立腺がん治療、欧米と差 男性に急増している前立腺がんの治療で、欧米では推奨されていない早期がんへのホルモン治療が、日本では約4割の医療機関で「主な治療法」として実施されていることが、読売新聞が実施した全国調査で明らかになった。手術、放射線などの実施率も医療機関による格差が大きく、治療方針のばらつきが浮き彫りになった。ホルモン治療については、根治治療の遅れなどの弊害も指摘されている。調査は、前立腺がん治療を行う主な医療機関426施設が対象で、昨年1年間の治療実績を文書で質問し、333施設(78%)から回答を得た。転移のない前立腺がんの主な治療法を尋ねたところ、手術が41%で最も多く、ホルモン剤だけを使うホルモン単独治療が36%で続いた。放射線治療は19%、治療せず様子を見る「経過観察」が4%だった。実際の治療実施件数でも、手術が最も多かった施設は48%、放射線治療が多い施設10%、ホルモン単独治療が多い施設42%と、医療機関による傾向の違いが大きかった。ホルモン治療では、毎月または3か月に1回の注射を行い、男性ホルモンの作用を抑える。去勢と同じ状態になるため、のぼせ、活力低下など更年期症状の副作用がある。米国では、早期がんには手術または放射線治療、経過観察が主な方法とされ、ホルモン治療は治療指針に記載されておらず、患者の1割程度にとどまるとされる。前立腺がんでは一般に、手術は高齢患者には実施されない場合も多く、放射線治療は体への負担が少ない。進行が遅いため、経過観察する場合もある。赤座英之・筑波大病院泌尿器科教授は「治療の有効性を科学的に比較した日本の研究がほとんどないことが標準化を困難にしており、現在、比較研究を進めている」と話している。医療機関別の調査結果は、7日のくらし健康面で掲載の予定(読売新聞)
*妊婦のマグロ食べ過ぎに再び警鐘 妊娠中の女性はマグロを食べ過ぎないで−。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の乳肉水産食品部会(部会長、熊谷進・東京大大学院農学生命科学研究科教授)は十二日、クロマグロなど新たに九種類の魚介類を、妊婦が過食に注意すべきだとし、摂食量の目安案をまとめた。魚介類には胎児への影響が懸念されるメチル水銀がわずかに含まれている。一昨年六月、バンドウイルカなど七種類の魚介類について妊婦は食べ過ぎに注意するよう決め、公表した。その後、新たなデータが得られたため、食べても安全な量の基準を厳しく設定。新たにクロマグロやメバチマグロ、エッチュウバイガイなど九種類が注意すべき魚介類に入った。摂食量の目安は、クロマグロは一回八十グラム(一人前)を週に一度程度、もっとも注意が必要なバンドウイルカは一回八十グラム(同)を二カ月に一度程度までとしている。同部会は「魚介類は健康的な食生活には欠かせないが、偏って多量に食べることは胎児のために避けてほしい」としている。案は厚労省のHPに掲載し二十二日から一カ月間意見募集したうえで、正式決定する(産経新聞)
*脳死の女性、無事女児出産 08.05 AP通信によると、妊娠早期に脳腫瘍(しゅよう)のため脳死と診断された米バージニア州のスーザン・トレスさん(26)が2日、女児を出産した。脳死の女性による出産例はほかにもあるが、トレスさんの場合はがんが既に肺などに転移、子宮に広がる前に胎児が十分に発育できるか時間との闘いになっていたため、内外の注目を集めていた。帝王切開で生まれた女児は体重わずか820グラムだが元気という。トレスさんの状態は不明。ワクチン研究者のトレスさんは5月、自宅で突然倒れ呼吸が停止。極めて悪性度の高いがんの一種メラノーマが脳に広がっていた。夫のジェーソンさんは仕事を辞めて妻に付き添い、出産のために人工呼吸器の装着を続けた。出産後の赤ちゃんが発育できるぎりぎりの時期とされる妊娠24週が過ぎた2日、手術が行われた(共同通信)
*中教審、高校生の性行為は不適切 学習指導要領の改訂に向け、保健・体育のカリキュラムを検討してきた中央教育審議会の専門部会は27日、「高校生以下の性行為は適切ではない」という立場から、「安易に具体的な避妊方法の指導をすべきではない」とする審議経過報告の素案をまとめた。近く中教審の教育課程部会に報告する。子どもの性行為の是非について、中教審が見解を示すのは初めて
性教育について、指導要領では、小学校で初経や精通、中学で受精と妊娠、高校で家族計画などを学ぶことになっている。しかし、文部科学省は児童生徒の性行為の是非については明言しておらず、「避妊すれば、性交渉をしてもいいのか」という子どもの問いには、現場の先生が答えてきたのが実態だ。素案では、高校生以下では社会的責任を十分に取れないことと、性感染症等を防ぐ観点から、「性行為は適切ではないという立場で、指導内容を検討する」こととした。また、一部の学校で行き過ぎた性教育が行われている実態を踏まえ、「性教育は、人間関係の理解やコミュニケーション能力を前提とすべきで、安易に具体的な避妊方法の指導をすべきではない」との基本方針を示した(読売新聞)
*低収入は、結婚率も低下傾向

若い男性の結婚率が、雇用の形態や収入の違いと強い結びつきがあることが、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査でわかった。25〜29歳でみると、年収が500万円以上あると半数以上が結婚している一方、パート・派遣など非正規雇用者の結婚率は14.8%にとどまった。晩婚化や非婚化は若者の価値観だけの問題ではないことが鮮明になった。仕事の有無や内容、家族関係などについて5年ごとに調べる総務省の就業構造基本調査(02年、対象約44万世帯)のデータを同機構の「若年移行支援研究会」が分析した。まず何らかの仕事をしている有業男性の結婚率は、25〜29歳では32.4%、30〜34歳は57.2%だった。これを年収別に集計したところ、25〜29歳の年収1千万〜1499万円では結婚率72.5%に達しているのに対し、年収250万〜299万円では26.3%、300万〜399万円は35.6%にとどまる。30〜34歳では年収300万円以上で過半数が結婚しているが、高収入層ほど結婚率も上がるという傾向は変わらない。雇用形態で見ると、30〜34歳の正社員の結婚率は59.6%、自営業者は64.5%だったのに対して、非正規雇用者では30.2%と半分以下だった。さらに仕事をしていない無業男性の結婚率は、25〜29歳で7.5%、30〜34歳で15.8%にとどまっている。小杉礼子副統括研究員は「少子化につながる晩婚化、未婚化と、若者の就労問題は切り離して考えられない。とくに最近はパートや派遣など非正規雇用が増え、収入面で結婚に踏み切れない人が増えているのではないか」と話している(朝日新聞)

*出会い系サイト関連事件、減少傾向

今年上半期(1〜6月)の出会い系サイトに絡む事件の摘発件数を4日、警察庁がまとめた。総数は710件で、前年同期より75件減ったが、青少年保護育成条例違反は47件増の210件に上った。児童買春は299件で前年同期(371件)より約19.4%減った。昨年7月の改正児童買春・児童ポルノ法に盛り込まれた児童のわいせつ写真撮影などの摘発は20件。強盗は11件、強姦(ごうかん)は18件、恐喝は18件、窃盗は21件だった。被害者は578人で、そのうち18歳未満が約86%を占め、小学生は3人、中学生173人、高校生は232人に上った(朝日新聞)